羽生選手のアイスショーのチケット、昨日までに一般抽選やらファイテンやら申し込んだので、なんだか当たるような妄想が始まり「2日とも当たったら泊まった方がいいよね」などと1人ニヤけております。戦前からの、少々見下した感のある精神医学用語だと「児戯的爽快」状態。が、木曜日金曜日には「ヤラレター!(何に)」と叫んでいる可能性大。まあ、そこからのライビューやリセールにまだ希望がありますが。
ここからが本題です。
脳炎と言っても色々あるらしい。
以下はたぶん、
私が学生の頃にはなかった疾患名。
「可逆性脳梁膨大部病変を伴った軽症脳炎脳症(MERS)」
国試前に覚えた記憶が無い。
どうやらMRIが普及してから
疾患概念が出てきた模様。
これからの国試では出るんだろうね。
重要ポイントかも。
繰り返します。
「可逆性脳梁膨大部病変を伴った軽症脳炎脳症(MERS)」
MERSは
mild encephalitis/encephalopathy with a reversible splenial lesion
の頭文字みたいだが。
あの中東呼吸器症候群
(Middle East Respiratory Syndrome:MERS)
と同じであり、
非常に紛らわしい。
こっちの方が広く知られているし。
病名のなかに、
「可逆性=元に戻るよ!」
「軽症=たいしたことないよ!」
と、
わざわざ入れているあたりも、
プンプン臭うんだけども。
今は深く突っ込みません。
脳梁膨大部(splenium of corpus callosum)
で、
感染症やワクチン後、その他代謝性疾患、てんかん、抗てんかん剤その他の化学療法などの薬剤、外傷、低酸素状態など。
つまりなんでもありの原因で起こる脳炎。
脳梁膨大部というのは、
左右の脳を繋いでいる部分(脳梁)のうち、
主に側頭葉や後頭葉を繋いでいて膨らんでいる場所のこと。
つまりプックリした左右の脳を
真ん中で繋げている
太い茎みたいな部分の
後ろ側にあたる。
それで。
なんか知らんけど。
自分のためにも繰り返しますが、
正式病名が、
「可逆性脳梁膨大部病変を伴った軽症脳炎脳症(MERS)」
らしいのよ。
こんな感じの論文がいくつも出ています。
不思議なことに、
○○後発症のものの症例報告論文では、
「症状が派手で」
「診断までは戸惑うけども」
「脳炎としては軽くて治るよ」
「疫学的な観点から医療経済的には」
「○○を忌避することなく推奨します」
と言う流れになっているものが多い。
闇が深い…
まあでも、
"熱性けいれん"との鑑別で
開業医ではMRIとか無いので
現場での戸惑いが半端なさそう。
「脳梁膨大部病変を伴った脳炎脳症(ES)」
encephalitis/encephalopathy with a splenial lesion
こっちの方が分かりやすいし覚えやすい。
それが、
「○○後に起こることもあります」と言うお話です。
やっぱりそこまでインフォームドコンセントする義務はありますよね。
感染症によるリスクを取るか。
○○後の脳炎リスクを取るか。
(そもそも…と始めると深みにはまるので、
今は止めておきます)
そのせいか!
論文ではまた別の用語を使っている…
脳梁細胞傷害性病変 (CLOCC)
病態としては同じことですので、
混乱されませんように。
https://x.com/You3_JP/status/1690959427900506112?s=20
後程少しだけ抜粋してコピペします。
結局この74歳女性は半年くらいかけて
徐々に回復したものの、
聴力低下は残り、
元は自力で歩けていたのに、
6ヶ月の集中的なリハビリでようやく、
歩行器使用までの回復に留まっているようです。
それでも「○○○で亡くなるよりは良かった」
なんでしょうかね…
以下論文の部分的コピペ&最後のみ重要なので赤字大文字に変換
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異種の新型コロナウイルス感染症追加ワクチン接種による悪化を示唆する脳梁の細胞傷害性病変(CLOCC)
千葉雄大・高橋義明・川北理恵・出口和史・正木勉
〈概要〉
脳梁細胞傷害性病変 (CLOCC) は、磁気共鳴画像法 (MRI) での脳梁の可逆的病変に関連する疾患実体です。CLOCCはさまざまな病因によって引き起こされますが、ワクチン接種後にCLOCCが発生することは非常にまれです。重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)mRNAワクチンの初回投与後にCLOCCを発症した過去4例が報告されている。これらは脳梁膨大部に局在しており、早期の臨床的および神経放射線学的回復を示しました。私たちは、異種の新型コロナウイルス感染症追加免疫ワクチン接種がかなり深刻な CLOCC 損傷を引き起こすという珍しいケースを経験しました。
〈症例の経過〉(初めのみ抜粋)
足首の変形により歩行が不安定な74歳の右利きの日本人女性は、日常生活では自立して生活していた。これまでに2回の新型コロナウイルス感染症ワクチン(両方ともBNT162b2)を接種したが、副反応はなかった。新型コロナウイルス感染症ワクチン(mRNA-1273)の3回目の投与後(1日目)数時間後、彼女は悪寒、全身倦怠感、食欲不振を発症した。5日目には何度も転倒し、書くことが困難になった。7日目に39.2℃の発熱と難聴のため地元の病院に入院した。
〈導入〉
脳梁細胞傷害性病変(CLOCC)は、以前は可逆性脳梁膨大部病変を伴う軽度脳症(MERS)として知られており、磁気共鳴画像法(MRI)での脳梁の可逆的病変に関連する疾患実体です。CLOCCの病因として報告されているものには、ウイルスまたは他の種類の感染性病原体、てんかんおよび抗てんかん薬の使用、代謝性疾患、薬物関連毒性、悪性腫瘍、脳血管疾患、外傷性脳損傷、片頭痛重積状態、および高地疾患が含まれます [1 ]。最近のパンデミックの発生後、CLOCC を引き起こす可能性のあるウイルスのリストに COVID-19 が追加されました[2]。重症急性呼吸器症候群コロナウイルス 2 (SARS-CoV-2) に対する mRNA ワクチンの後遺症として CLOCC を発症した症例が 4 例報告されていますが、4 例すべてが SARS-CoV-2 mRNA ワクチンの初回投与後に脳梁膨大部に局在する CLOCC を発症しました。 CLOCC に典型的であるように、早期の臨床的および神経放射線学的回復を伴う[1,3-5]。われわれは、彼女が受けた1回目と2回目のワクチン(両方ともBNT162b2)とは異なる新型コロナウイルス感染症ワクチン追加接種(mRNA-1273)を受けた数日後に、重篤かつ広範なCLOCCを呈した高齢女性の症例を報告する。私たちの知る限り、これは、SARS-CoV-2 mRNAに対する異種ワクチン接種とCLOCCの予後不良とを関連付ける最初の報告である。