「御誂次郎吉格子」活弁士は坂本頼光氏! | 独立映画隊

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邦画の感想 ネタバレあります

 

坂本頼光さんの「御誂次郎吉格子」。

かなり狭い会場で、坂本さんの大きな声が響き渡り迫力があった。

なぜ「おあつらえ」という言葉が付いたか。それは反骨精神旺盛の伊藤大輔監督が、会社側からこれ撮って、今度はあれ撮ってと言われ、自身のやりたいものがなかなか撮れず「はいはい、わかりました、お誂えしましょうね」ということで付いたそうだ。

 

若い大河内傅次郎の相手役の女優は伏見直江・信子姉妹。絵に描いたような美しさである。

姉の直江(お仙)は艶っぽく、妹信子(お喜乃)は初々しく可愛い。

大河内傅次郎は最初は姉に、そして次に妹に心を移していく。

非常に勝手である。可哀想なのはお仙。いや、お仙の兄がド外道のせいで、お喜乃さんも相当ひどい目に合っているのだが、やはりお仙が可哀想。

「次郎さん、忘れさせないよ!」と叫び、お仙が最後にとった行動は。

坂本さんの素晴らしい説明で、思わず涙が出るラストであった。

実はこの作品、以前見たことがあるのだが、その時は泣いた覚えはない。やはり生の活弁士の説明を聞きながら観る作品は、一味も二味も違うのだなあと感じた。

 

おまけ:時々、大河内傅次郎の台詞がちょっと物真似っぽく感じたのはわたしだけでしょうか(笑)。