近世蒔絵 灰野明郎 中公新書
蒔絵を調べる必要があり、借り出した。あまり期待していなかったが得るところ多かった。先ず歴史がわかった。また輸出品として確固たる地位を保ってきたことも知った。
南蛮(スペイン)と赤毛(オランダ)では嗜好が異なり、時代によってデザインが違った。顧客指向はすごく、本国から送られてきた銅版画を下絵にして肖像画や西洋街並みなどもものにしている。
某ミュージアムショップで入手した、貝細工(漆は全く使っていない)の扇型ブックマークは長崎螺鈿漆の伝統を引く、裏絵付けであることも知った。
著者は最後に、漆芸は「用の美」を忘れてしまったことを憂いている。工芸品は日常生活を和ませるものであってほしい。