鉞子(えつこ) | 右岸だより

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 歳を取り、ヒマになりなり、昔やりたかったことを手掛けようと思っていますが、思うようにできません。そんな中で出来ることを探したり、出来るように工夫したりしてもがいている毎日を綴ってみたいと思っています。

鉞子(えつこ) 内田義雄 講談社

 「武士の娘」と言う本を書いた長岡藩出身の女性。長岡藩は幕府方につき、戊辰戦争でひどい目にあった。藩再興を教育に託したのは「米百俵」と言われ、有名だ。その成果は知らなかった。

 鉞子は著名な幕臣の娘で、この方針に従いアメリカに留学した。津田梅子の時代で日本人女性としてはパイオニアの一人だ。この時代、アメリカでは日本人は理解されておらず、評判がよろしくないのを憂い、書いたのが「武士の娘」だ。これを米人の助けを借りたが英語で書き、アメリカで出版した。いろんな国で翻訳出版されている。遅ればせながら日本語訳も出ており、読んでいる。自叙伝風になっているが、知的で芯の強い女性が描かれている。並行して作者に興味があり本書を読んでみた。

 鉞子は大学で講義を行い、その教え子には「菊と刀」のベネディクトがいる。戦後の占領軍の中にも愛読者がおり、占領政策に愛嬌を与えたのだそうだ。

 米百俵が戦後日本の体制まで影響を及ぼした!