薩摩朝鮮陶工村の四百年 久留島浩他 岩波書店
陶芸史のなかで秀吉が朝鮮から連れ帰った陶工の果たした役割は大きい。彼らは各地の製陶技術のレベルアップに貢献した。
薩摩もその一つだが、他産地とは異なり特定の地域に住まわせ、優遇し独特の政策を採った。技術の伝承はもちろんだが、朝鮮外交の一端を担わせたからだ。薩摩は琉球経営の経験がある。彼らを活用して、独自の朝鮮外交を展開した。
時代とともに朝鮮との関係は変化する。このため、優遇は差別につながることもあった。そんないきさつが比較的冷静に書かれている。薩摩政治の面白さを感じた。