時間の旅・空間の旅 | 右岸だより

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 歳を取り、ヒマになりなり、昔やりたかったことを手掛けようと思っていますが、思うようにできません。そんな中で出来ることを探したり、出来るように工夫したりしてもがいている毎日を綴ってみたいと思っています。

時間の旅・空間の旅 加藤剛 めこん

 著者は人類学者。半分はスマトラの調査記録、残りの半分は文明論。どちらも面白かった。まだインフラが整っていない時代にスマトラのある州をバイク(カブ号)でくまなく回りひたすらヒアリングを繰り返す。ゴムがすでに入っているが焼畑の一環だ。道路もひどく、衛生状態も最悪だ。ガソリンは雑貨屋がドラム缶を置いて売っている状態だ。そんな社会が面白く書かれている。

 後半は「文化相対性」論だ。その中で先進国から途上国を見るという視線に気づき、自らを戒める。いろんな例が出てくる。ジャカルタに出来上がっている「日本人社会」批判もある。異文化像を歪ませていると感じている。その地域を理解しようとしたら、都会を抜け出し、田舎に行こうと言うわけだが、簡単ではない。