木喰  | 右岸だより

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 歳を取り、ヒマになりなり、昔やりたかったことを手掛けようと思っていますが、思うようにできません。そんな中で出来ることを探したり、出来るように工夫したりしてもがいている毎日を綴ってみたいと思っています。

木喰 立松和平 小学館

 立松の棚で本書を発見。かつて円空仏の展覧会を観たことを思い出し、興味を持ったからだ。話は木喰僧に住みついているノミとシラミの語りで進む。この手法は以前もあった。

 そもそも木喰の意味を知らなかった。火を使った料理を断たった修行僧だという。木の皮草の根を食べる。物語は各地の伝説をつないでいろんな行状が紹介される。木喰は飢饉にかえって強いという逆説も展開される。与えることを喜び、受けることを喜ぶという場面も出て来る。これも行政頼みの昨今の福祉に対する皮肉だろうか。読み終わってすがすがしい気分になった。