悔しさとうれしさの入り交じった記念の1勝だ。高卒2年目のロッテ・田中晴也投手(20)が5回を5安打5失点(自責0)ながら打線の援護に恵まれ、プロ初勝利を挙げた。

「先輩たちがプレゼントしてくれた。勝たせてもらった1勝ではなく、自分の力で勝てる投手になっていきたい」

3−0の三回に味方の失策を起点に1点を失い、レイエスに満塁本塁打を浴びた。それでも「何が何でも五回は投げ切る。テンポよく流れをもってくる投球を」と、その後は最速151㌔の直球を軸に無失点。降板直後の六回に味方が逆転して白星が舞い込んだ。

新潟・日本文理高からドラフト3位で昨季入団した有望株。道しるべは第一線で活躍する先輩たちだ。高卒でプロ入りした種市、佐々木らと同様に、球団の育成方針で1年目は体づくりからスタート。昨季は1軍登板はなく、2年目の今季は6月1日の阪神戦(ZOZOマリン)に先発でプロ初登板し、5回無失点と上々のデビューを果たした。佐々木も2年目の5月にプロデビューを飾っており、同じように段階を踏んでいる田中晴は「高い目標の存在。先発たちを追い越したい」と目標を掲げる。

6月6日には20歳の誕生日を迎え、種市と佐々木がお祝いに食事会を開いてくれた。2年目の過ごし方など野球談議に花を咲かせたという。そのときは日本酒をなめた程度で、初勝利の記念に美酒を味わう予定だ。

エスコンでは今季8戦目で初勝利。「(佐々木)朗希さんは2年目で3勝した。自分も1年間を通して勝ち星をつけられるようにしたい」と田中晴。ルーフオープンゲームで球場の屋根が開放された雲一つない星空に、晴れやかな表情が映えた。


〜7/4付サンケイスポーツより抜粋〜