お立ち台で涙がとめどなくあふれた。支配下選手契約即「7番・捕手」で先発出場した西武・牧野翔矢捕手(23)が好リードで5投手による完封リレーを演出。三回には2015年盗塁王の中島の二盗を阻止し、チームのカード頭の連敗を13、火曜日の連敗を10で止めた。

「ここでしか味わえない緊張感。1軍で試合をするのはやはり楽しいな、と思いました」

24日夜に編成担当から「明日、ハンコを持ってきて」と電話があり、期待に胸が高鳴った。そして、この日の朝に渡辺GM兼監督代行から支配下選手契約とスタメン起用を伝えられ、背番号53のユニホームが間に合わず、旧背番号117のままプレーした。

2019年にドラフト5位で入団。強打強肩の捕手として期待されたが、1軍初昇格を果たした22年6月に右肘の内側側副靱帯再建術(通称トミー・ジョン手術)を受け、昨季から育成選手となっていた。

涙があふれたのは、先輩捕手・岡田と、元西武投手の武隈祥太ファームコンディショニング担当の顔が思い浮かんだ瞬間だった。「背中を押し続けてくれたお二人」。この日も打席に入る際の登場曲に、感謝を込めて2人が使用していた曲を選んだ。

能登半島地震で大きな被害を受けた石川県穴水町出身。今年1月の帰省中、能登町にある父の実家に向かっている途中で被災し、車中に7時間も閉じ込められた。「今まで自分のことで精いっぱいだったので…。これからは地元の方の励みになるよう、1軍で活躍する姿を見せたい」と誓った。


〜6/26付サンケイスポーツより抜粋〜