すいすいといかなくても、苦しい場面で踏ん張る底力が白星を呼び込んだ。楽天・藤井聖(まさる)投手(27)は3つの併殺打を打たせて6回を失策絡みの1点に抑える力投。リーグ最多に並ぶ6勝目を挙げ「粘りが真骨頂だと思うので、そこがまた出せたのは良かった」と大きく息をついた。

調子は良くなかったため、いつも以上に低めへの投球を意識した。1−0の四回に無死一塁で遊撃手の村林が併殺コースのゴロをファンブル。1死満塁となってから郡司のぼてぼての当たりが同点の内野安打となったが、すぐに「絶対に最少失点で」と気持ちを切り替えた。後続を仕留め、五回に3点の援護を得た。

交流戦で3戦3勝、防御率1.56の好成績を残し、球団創設初の優勝に貢献した。スライダー、シンカー、チェンジアップ、カーブ、ツーシームと多彩な変化球を操るのが特長。この日の直球の最速は142㌔ながら、クレバーな投球を披露。顕著だったのが初球の使い方。前回13日の巨人戦(楽天モバイルパーク)では、シンカーが初球の中で33.3%で最多だったが、この日はスライダーが33.3%で最も多く、シンカーは16.7%と少なかった。対戦相手に応じた変幻自在の投球で白星を重ねる。

勝利数について「野手と。抑えてくれている中継ぎのおかげ」と謙虚に語る27歳のサウスポー。今江監督は「(四回に)追い越されなかったのが藤井らしい。ああいう投球ができるから、勝ち星にも恵まれている」とたたえた。


〜6/24付サンケイスポーツより抜粋〜