暮れに発売されていて、読んではいたのですが、レビューは忘れてました。

 

カモのネギにはがある6加茂教授の人間経済学講義

ちょっとねたばれます。

 

加茂教授に目隠しされてアルゼンチンに連れて行かれた、教授のゼミ生名取美咲は、しばらくかの国の現状にショックを受け落ち込んでいると、教授は美咲に「日本がアルゼンチンのようにならないためにどうすればいいか考えてみよう‼」と、1週間の期限で課題を出す。

美咲は1週間、大学図書館で調べに調べ、日本が本当にヤバい事を知るが、答えにはたどり着けなかった。

教授は専門外だからわからなくて当然と言って、アルゼンチンで会った教授の後輩の丹藤秀樹に会いに行く。

丹藤は経済学の学士を取って、その後大学院で社会学を学び、社会学や経済学の講師をするかたわら、色々な自治体で「地方創生」のプロジェクトをやっていて、現在調査、研究を兼ねてアルゼンチン大学に勤務中だが、ちょうど四国にある故郷に一時帰国していると言う。

 

丹藤の通った小学校が廃校になり、校舎が壊されるところで、彼はその光景に涙を流す。

美咲は教授の課題を質問すると、丹藤も答えはは出せないと話すが、アルゼンチンも何年か後の日本も浮上する方法はいくつかかると美咲たちに話してくれる。

例えば今のように東京一極集中が起きると色々な弊害が起きるので、特に子育て世代は東京も地方も子育てしにくい状況になり、地方が活性化すると人口の流出が抑えられ、逆に流入してくると双方がより良い子育てしやすい環境になり人口も増える事になると話す。

そして大きな要因になるのが「リンゲルマン効果※」で、規模が大きくなればなるほど、自分一人の力では何も変わらないと思ってしまうので、国家規模でなく地方の小さな規模で行えば、より一人の力を引き出せると語る。

※農学者リンゲルマンの実験で、人が一人で何かする力を100%とすると人が増える毎に一人一人が“無意識”に本人が全く意図しないうちに力を抜いてしまう事を立証している効果。

この事を踏まえ、住民の力をより多く引き出す事が、地方創生の一番の基本だと話す。

 

そこに、丹藤の講義を聞いて地元に残り、町役場の職員となった立谷と言う青年が現れて、岡山県五葉町を救って欲しいと土下座する。

SNSで「死の町」と呼ばれている五葉町は、2008年のリーマンショックをきっかけに、大企業の工場が撤退し、若者がいなくなり、耕作放棄地が増え、空き家が増え、不法投棄の温床になり、アルゼンチンの裏路地のように悪の温床になっていく。

そこで、黒川耀司と言う地方創生コンサルタントが、産業廃棄物処理プラント誘致プロジェクトを持ち込み、スムーズに進んでいったが、黒川の指名した業者が嫌な噂のあったタコブ産業で、他の地域でも事故を起こした業者で、ある時広大な傾斜地を買い取り、ソーラー施設にすると言い盛土を始めた。

そこで大雨が降り、盛土が崩壊して土石流となり、麓の集落を襲い、未曽有の大惨事になり、立谷は災害ではなく人災だと言う。

調査をしてみると、タコブ産業も、運送会社も土地所有者も儲かる構図が出来ていた。

盛土は不法産廃処分場だったので、結果町を挙げての人災だったことをネットで叩かれ「死の町」と呼ばれてしまったと言う。

そして、プロジェクトの発案者の黒川は、プロジェクトの開発までが仕事だから、もう関係ないと話を聞かないと言う。

 

立谷に話しを聞いた丹藤は今抱えている仕事があると断るが、その仕事が五葉町の隣の隣の七房市だと言い、「七房市創生プロジェクト」ではなく「七房市とその周辺の創生プロジェクト」に拡大できないか提案してみると言う。。。

 

今回も面白く勉強になりました。

 

悪い奴はいつの世も、専門家を使って人を騙す構図を作り上げますね。

自分に累が及ばないように対策もします。

そして、捕まっても収監されている間に対策を考えて、出てきた時も同じような事を繰り返しますよね。

 

次回は丹藤&加茂教授vs.黒川の解決編。

 

で、毎回楽しみにしている「カモリズム経済白書」

 

今回のテーマは、アルゼンチンに学ぶ、衰退する日本経済の行く末

 

アルゼンチン共和国はヨーロッパからの独立の末、1929年には世界5位の富裕国になったが、世界恐慌の煽りを受け、9度の債務不履行を出し、それが大統領中心とした民主的政府が起こしたことで、目先のバラマキにおける歪んだ経済成長だと言う。

 

話を読むと、日本と似ていて、バラマキでは解決しないとわかっている人も多いが、支持も一時上がるので繰り返してしまう。

 

しかし、長い目で見ると地方の衰退は全然解決せず、地方は選挙の時に票を集める為に、耳障りの良い事を聞くだけの場所になり、結局バラマキに黙らせられる。

 

このままでは日本は「衰退途上国」になってしまうと言う。

 

国も対策を講じないわけではないが、助成金が配られたりしても、箱物を作る事が多いのだが、一時は人を呼んでも長く続かず、結果町や村の利どころか害になってしまう事も多く、その場しのぎの“絆創膏”にしかならず、結果地方の活性化は叶わない。

 

そして、地方創生を名目にした大きな問題点が金の流れで、代理店やコンサル会社が無駄な手数料やコンサル量で予算を食いつぶすだけでなく、自分達と関係のある企業に仕事を回し、自分達だけ儲かるシステムを構築していく事も懸念材料である。

 

一時問題になったクラファンの手数料疑惑とか、お金には悪い虫が集まるのは今も昔も変わらないですね。