カモのネギにはがある7加茂教授の人間経済学講義

おまけに、作中の世界的経済学者加茂洋平教授の著作カバーが付いていて、どんな本でも彼の本になります。

 

カバーの裏は今まで描かれた不正がわかりやすく書いてあります。

ちょっとネタバレます。

 

前巻の続きで、丹藤の「七房市とその周辺プロジェクト」は、いつの間にか黒川が七房市に大規模なリフレッシュ施設「リフレッシュプラザデーレー」を建設するプロジェクトや、他のプロジェクト計4団体がコンペで決まることになっていた。

これは市長が絡んだ事で、7人の審査員のうち2人が黒川とグルで、10人の市民が全員サクラだという、黒川に決まる出来レースだった。

事前の調べで、市長は国選に出る為このプロジェクトを利用しようとしただけで、あまり内容は知らず、市役職員の中に賄賂を要求するクズもいて、加茂教授は「人をカモにする奴は、徹底的にカモり倒す」と笑顔で話す。

 

黒川のコンペはサクラの盛り上げで注目を浴び、皆にこれが良いかもと思わせる。

ただ、丹藤がコンペの時に「予算0でお金は使わず人を動かせるかで成功するかしないかは決まる。」と言うと、取材記者たちと審査員の目の色が変わる。

市長が予算0を馬鹿にすると、丹藤はアルゼンチンを例に出して話し、書記が話を聞いていない事を確認して、コンペを下りる。

しかし取材陣は後の取材で、丹藤が五葉町創生プロジェクトを行うと知り、「五葉町と七房町対決」と新聞に書き立て、黒川が引っ込みの付かないようにする。

 

黒川は以前五葉町の農家に土地を売る様働きかけて、全く相手にされなかったことから、丹藤のプロジェクトは失敗に終わると確信して、自分のプロジェクトを推し進め、デーレーは完成して一時反響を呼ぶ。

しかし、客足は徐々に減って行き、数カ月で撤退するテナントが出てくる有様で、回復は望めない状況に陥る。

以前のように黒川は自分はプロジェクト完成までと言って逃げようとするが、丹藤が新聞で2年後を見て欲しいと言った事から、2年で一区切りと考えた市民によって、黒川は逃げられなくなる。

さらに記録的豪雨でデーレーは浸水して休業に追い込まれる。

 

一方丹藤は「五葉町農業株式会社化プロジェクト」を開始していた。

黒川が土地を買収に行って断ったその地区のドンが、丹藤の心意気に感銘して安く土地を売り、地区41戸の農家と隣接する地区11戸がプロジェクトに参加するだけじゃなく、全員社員として若い社員に農業のやり方を教えると言う。

 

更に加茂教授は、黒川の愛人宅に隠し金があることを国税局査察部にチクり、見事6億円を見つける。

 

丹藤は五葉町の農業株式会社化プロジェクトを成功させただけでなく、休業中のデーレーも力になれそうと言う。。。

 

今回もなるほどと思いました。

 

今、地方創生の方法として移住プロジェクトを行っている所が多く、基本そういう地域は自然が多く、時間の流れが緩やかで、子育てをするには良い場所が多く、空き家をリフォームしたり、安く売ったり、お年寄りが色々手助けしてくれたり、移住しやすい環境を整えたりしていますね。

 

わたくしの住んでいた三島市も子育て支援課を作り、子どもを産み育てやすい環境の整備をしたりしているとの事。

 

お年寄りはその土地を離れたがらないから、何かと不自由を強いられるが、移住してくる子育て世代に自分たちの知恵を伝え、出来る範囲で手伝い、若者はお年寄りの出来ない事を出来る範囲で手伝う…これって昔の家族やご近所の在り方のような気がします。

 

困った時はお互い様で関わり合いの中で、町おこし、村おこしが出来たらいいし、時々鬱陶しいかもなお節介で、孤独を癒せることもあると思います。

 

時々話す自分の母の実家の話は、もう無い事と思っていましたが、これからの子供は上手くすると経験できるかもしれないですね。

 

今回の「カモリズム経済白書」、テーマは、日本の農業が辿った衰退の道。その先に国の未来はあるか。

 

戦後の日本は米作奨励を受け、米あまりという状況になり、政府は「減反政策」を行い、水田を手放す農家も増える。

すると覚えている方もいらっしゃる1993年に起きた冷夏の影響で、米が大不作に陥り、タイ米が輸入され、タイ米と日本米の抱き合わせで販売され、タイ米が捨てられる事態になった。

これはタイに対する侮辱行為であり、ブランド米志向の強まりと減反政策と、備蓄もあまりしなかった悪政が起こした結果だった。

もう一つ、土地と人に合わない農業政策を進める行政も、農家のやる気を奪っているのではないか。

 

今は農業も工場で出来る時代になっていますが、やはり土から採れた野菜の方が本来の味がすると思うので、農業株式会社化はちょっと突っ込み所もありますが賛成です。

 

次回は名門大学野球部にはびこる「暴力がなくなった今でも残酷物語」です。