わたしの幸せな結婚8

ちょっとネタバレます。

 

今回は短編集ですが一冊の半分は久堂清霞の若い頃の話です。

 

結婚式後、公私ともに忙しい清霞は帝都ホテルのラウンジで、元上官の光明院善と向き合っている。

清霞に「死相が出ている。」と軽口を叩く光明院は今も昔も繊細さに欠ける。

ふと光明院が「五道がいたら。」と小さく呟き、清霞も忘れられない五道の最期を思い出す。

 

対異特務小隊隊長の五道壱斗に、清霞は子供の頃から、自分の父より世話になり、異能や剣術の訓練を見てもらったりもした。

そして大学に入ると、五道に乞われ異形退治の手伝いを始め、軍に入らないかと再三勧誘されるが、清霞はいまいち踏み切れない。

卒業間近になったある日、清霞は五道に「夢があるならそちらを優先しろ。」と言われ、突き放されたような気持ちになり、対異特務小隊の屯所へ行かず、家にも帰りたくないので、大学の友人と飲み歩くようになる。

ある日、教授と友人たちと飲んだ帰り、一人歩いていると清霞は強大な妖気を感じ、愛刀の妖刀をいつでも抜刀できる体勢を取り、一番強く妖気が渦巻く所に斬りかかった。

金属同志のぶつかる音がして、暗闇の中やり合ううちにだんだん目が慣れ、編み笠をかぶった僧侶の姿が見えた。

その手は黒く、相当な年月を経た虫の異形とわかり、相手がにやりと笑い、脚が清霞に伸びてきた時、その脚をを斬ると、聞くに堪えない絶叫が響き、もだえ苦しんでいる間にとどめを刺そうとするが逃げられてしまう。

ちょうどその時、五道率いる対異特務小隊がやってきて、清霞に異形の正体は「土蜘蛛」だと言い、人間が喰われたので警戒に当たっていると言う。

そして清霞に家に帰れと強く言い、留まる事を許さなかった。

大学に戻り、1週間もすると対異特務小隊の隊員も土蜘蛛にやられたという噂が耳に入るが、五道からは連絡がない。

清霞も意地になり連絡をしなかった。

しかしある晩、家に帰ると五道から電話があった。

清霞のこの先の人生の生き方を聞きたかったのだろうが、五道の言葉に反発してしまい、土蜘蛛の討伐も断ってしまう・・・「霖雨がやむとき」

 

清霞の姉の葉月は、美世が可愛くて仕方がない。

まだ清霞と美世が結婚前に、清霞がおくつき騒動で昏睡状態になり、家で静養している頃の事。

葉月が美世に上流社会の色々を教えに家を訪ねると、玄関にたくさんの見舞い品が届き、それを仕分けしていると、葉月は美世の様子がおかしいのに気付き、見るとまるでラブレターのようなカードの付いた朝鮮ニンジンが送られてきていた…「義妹が可愛すぎる」

 

他、美世がブランデーケーキを食べて酔った時のこと、立石家の若き当主立石一志のある一日、清霞と美世の穏やかな日常等々。

 

面白かったです。

 

本編は読んで笑う事はあまりないのですが、これは面白いシーンも多々あって、それぞれのキャラが詳しく描かれた作品達でした。

 

五道壱斗と清霞との関係や、清霞が対異特務小隊の隊長になった訳や、今は清霞を尊敬する部下の五道佳斗がなぜ対異特務小隊に入ったのかとかが描かれていて、本編の疑問が一つ解決しました。

 

あとがきに作者が「では、またどこかで。」と言って〆ていたので、今回で完結なのでしょうか?

アニメ二期が始まるそうで、終わらないかも疑惑があって、様子見ですが、もうタイトルを回収したので、よくある長引かせて着地点が解らなくなる前に完結して欲しいと思っています。