TVドラマにもなった佐伯泰英の人気小説の映画化で、あの人の逮捕で代役を立てて撮り直し、無事予定通りの公開となった作品。
TVドラマを見て、原作を読んでハマったのですが、とっても切ない、でもそれだけではないお話です。
居眠り磐音
入場者に、原作者佐伯泰英の松坂桃李に捧ぐ、描き下ろしの書かれた映画版居眠り磐音の脚本が配られて、家に帰って脳内に画像を浮かべながら読むことが出来き、二度美味しいシステム。
少しネタバレていますゆえ、お気をつけなされよ。
三年の江戸勤めを終え、坂崎磐音(松坂桃李)と幼馴染の小林琴平(柄本佑)、河出慎之輔(杉野遥亮)の3人は、豊後関前藩(豊後は今の大分県で、関前藩は架空の藩)に戻る。
琴平の妹舞(宮下かな子)は慎之輔に嫁ぎ、磐音も琴平の妹奈緒(芳根京子)と翌日祝言をあげることになっていた。
明日の再会を話し、それぞれの家に向かい、帰国の挨拶をする磐音と琴平。
慎之輔も急ぎ家に向かうが、途中叔父十三が無理やり引き止め、妻舞の不貞が噂になっていると話す。
最初は信じなかった慎之輔だが、慎之輔が舞に送った簪(かんざし)を十三に見せられ、顔色を変える。
相手は山尻頼禎という男で、舞は彼からもらったべっ甲の簪を挿しているという。
ふらふらと家に帰り、舞のべっ甲の簪を見た慎之輔は、激昂して彼女を斬り殺してしまう。
舞の不貞により、慎之輔が手打ちにしたとの知らせを聞いた琴平は、遺体を引き取りに行き、慎之輔に理由を問う。
慎之輔の話を琴平は信用せず、逆に慎之輔を諭すが、十三が証人だと出てくる。
酒癖が悪く評判も良くない、酒に酔った十三が刀に手をかけ、ふらふらと琴平の元に降りてくる所を、琴平は袈裟懸けに切り下げる。
とそこに、女中の一人が思い出したように、舞は慎之輔よりもらった簪をなくし、必死に探したが見つからず、慎之輔が戻るからと、急ぎべっ甲の簪を自ら買い求めたと話す。
混乱する慎之輔だが、舞の遺骸を戸板に乗せ運び出そうとすると、「舞はわしの妻じゃー」と狂気に満ちて駆け寄ろうとする所を、琴平が切り捨てる。
次の朝、磐音が顔を洗っていると、青ざめた父正睦より昨夜の出来事を聞く。
納得の行かぬ磐音は、妹の伊代(南沙良)より事の成り行きを聞く。
舞と奈緒、伊代の三人は食事に出かけ、そこで山尻頼禎が奈緒を見初めたが、奈緒は婚約者がいるときっぱりと断った。
しかし頼禎は勝手に贈り物を届けるようになり、困った奈緒の代わりに姉の舞が、十三と一緒に進物を返しに出かけたのを、変な尾ひれがついて広まったという。
そこに琴平が山尻頼禎の屋敷に押し入ったとの知らせが届く。
琴平の上意討ちが決まり、父は急ぎ城に向かい、磐音は伊代に自分にもしものことがあればと、奈緒への江戸土産を託し、琴平のもとへ行く。
磐音は琴平に話したいと捕り方の東に頼み、屋敷の中に入って返り血を浴びた琴平に真実を話す。
すると琴平は、磐音と尋常の勝負がしたいと頼む。
皆が息を呑む中、静かに戦いは始まる。。。
良かったです。
正直磐音はドラマの山本耕史がベストと思っていたので、松坂桃李主演と聞き、ん~~~っとなったのですが、予告編が公開され見ていく毎に、これはなかなかと思うようになりました。
時代劇はじめての方にもわかりやすい作品になっています。
幼馴染を一度に3人も亡くし、奈緒の兄を切った自分が彼女に連れ添うことなど出来ず、藩に暇乞いをして一人旅立つ磐音の覚悟と、お家断絶になり、病気の父の為身売りをする覚悟を決めた奈緒に心が痛いです。
この原作はとっても長いので、映画は時間の関係で、ほんの序盤だけのお話になってしまい、どうしても磐音の哀しさが前面に出てしまうのはしょうがないと思います。
磐音が用心棒になった、今津屋の主吉右衛門がちょこっと話した、藩の陰謀に巻き込まれた磐音達ですが、そこは時間切れで語られなかったし、長屋の人達の悲喜こもごもも描けたら、個人的には嬉しかったと思います。
わたくし方言フェチなので、豊後、江戸、武士、町人、花魁言葉、更に男性と女性の言葉の違いがわかって、それだけで楽しくなってしまいます。
そして、やはり殺陣(たて)は、大画面で見るとめちゃくちゃかっこいい
真剣に命をかけて立ち会う人の所作に引き込まれます。
柄本明、佑親子は絡みはなかったのですが、心の中でおおっって思いましたし、悪役の柄本明は本当に悪い奴に見えてさすがです。