新職場に異動して一月以上が過ぎて、少し新しい所にも慣れてきた。


前の八王子から今度は世田谷と、かなり都会に出てきた感じであったが、


その違いで一番強烈だったのは「蚊」だったりする。


都会に蚊は少ないだろうと勝手に思い込んでいたので、


異動する時に買い込んでいた防虫グッズを捨ててしまった。


しかし蓋を開けてビックリ、世田谷の蚊は物凄かった。


まず絶対数が多すぎる、しかも恐ろしく強い。


あわてて虫除けスプレーなどを買い込んだ。


仕事の前に全身に振りかける、途中で塗り直す、お肌が弱い僕には結構キツイ。


それでも塗り忘れた箇所は容赦なく刺される、それで表題の「耳なし芳一」である。


忙しい中で毎日バタバタとやっているとどこかは塗り忘れる。


蚊に刺されてその場所を知るのである。「うわ!そこ塗って無かったか」


芳一はその悲劇から琵琶の名手であることを広く知られたようだが、


僕の悲劇は僕に何の利益も生んでくれないようである。