立証の程度(刑事事件) | 法律翻訳ネタと変人観察日記

法律翻訳ネタと変人観察日記

洋書に出てくる英語表現を使って、法律英語とアメリカの法体系について解説したり、変人観察日記に使える英語表現を紹介しています。
その他、食事日記やどうでもいいネタもあります。統一感のないブログですがよろしくお願いします。

地区首席検事バックリーは徹底した病理学的精密検査を要求し、コッブとウィラードの死因を証言させようとしました。


そのために、病理学者が解剖写真や色分けされた数々の図表を使いながら証言することになりました。


━─━─━─━─━─


For three hours the pathologist talked about how many bullets hit Cobb and how many hit Willard, and what each bullet did upon penetration, and the ghastly damage thereafter.

病理学者は3時間にも渡り、コッブに命中した弾丸の数やウィラードに命中した弾丸の数、それぞれの体内を通過した際に及ぼした影響、あとに残ったむごたらしい傷について話した。


The anatomy charts were placed on easels before the jury, and the expert took a plastic, numbered pellet that represented a bullet, and moved it ever so slowly through the body.

陪審員席の前におかれたイーゼルに人体解剖図がかけられ、病理学者が番号の振られたプラスティックの弾丸模型を手に持ち、それをのろのろと動かして、体内を通過させていった。


【解説】


◆立証の基準


すべてのケースにおいて100%完璧な証明はできません。よって、どの程度立証ができればよいのかという問題が生じてきます。


アメリカ証拠法ではこの基準が刑事裁判と民事裁判では大きく異なります。

ここでは刑事裁判の場合について解説します。


合理的な疑いのない証明(Beyond a Reasonable Doubt)

刑事裁判の場合、人に刑事罰を課すかどうかを決めるので、立証は慎重に行なわなければなりません。

その立証の程度は、理性的な人が疑いをさしはさまない程度に明白な証明でなければならないとされています。


「合理的な疑いのない証明」は100%明確な証拠を要求しているものではありませんが、通常の理性的な人を納得させることができる程度に確かだと思える証拠をさします。