陪審員選任4-Challenge for Cause | 法律翻訳ネタと変人観察日記

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昨日の記事 の続きです。


「検察側・弁護側は陪審員候補者一人ひとりに質問をして、陪審員として適切であるかどうか判断します。

もし、候補者が陪審員として適切でない場合、理由のある陪審忌避(Challenge for Cause)を申立て、振り落とします。」


物語の中でも、陪審員候補5番目のジェラルド・オールトが「死刑には断固として反対」と発言し、検察側から忌避を申し立てられました。




"Thank you, Mr. Ault, this will only take a minute. First of all, do you have strong feelings for or against the death penalty?"


「恐縮ですね。ミスター・オールト。すぐにおわります。さて、賛成であれ反対であれ、あなたは死刑について確固たる意見をお持ちですか?」


"Oh, yes, sir. I'm 「very much against it. It's cruel and unusual. I'm ashamed I live in a society which permits the legal killing of a human being."


「ええ、もってますよ。死刑には絶対に反対です。残酷かつ異常なことですからね。私は、法律によって殺人が許容されている社会に自分が暮らしていることを恥ずかしく思っています。」


"I see. Could you, under any circumstances, if you were a juror, vote to impose the death penalty?"


「わかりました。もし陪審員に選ばれた場合、いかなる状況下においても死刑に賛成票を投じることができますか?」


"Oh, no sir. Under no circumstances. Regardless of the crime. No, sir."


「いいえ。どんな場合でも投票できません。犯罪のいかんに関わらずです。答えはノーです。」


※ここで検察側から忌避を申し立てられました。


"Your Honor, the State would challenge Mr. Ault for cause and move to excuse him under the authority of State vs. Witherspoon."


「裁判長閣下、検察側はミスター・オールトを理由付き忌避の対象とし、州民対ウィザースプーン裁判の判例にのっとって、氏を陪審員から除外する申立を提出いたします。」


"Motion sustained. Mr. Ault, you are excused from jury duty," Noose said. "You may leave the courtroom if you wish. If you shoose to remain in the courtroom, I ask that you not sit with other jurors."


「その申立を認めます。ミスター・オールト。あなたは陪審員義務を免除されました。」ヌースは言った。「お望みなら、法廷を出て帰っても構いません。もしこの後も法廷に残るようであれば、他の陪審員候補者との同席は避けてください。」


"May I ask why?" Gerald said.

「理由をうかがいたいのですが」とオールトは言った。


"Under the law, Mr. Ault, the court is required to excuse any potential juror who admits he or she cannot consider, and the key word is consider, the death penalty. You see, whether you like it or not, the death penalty is a legal method of punishment in Mississippi and in most states. Therefore, it is unfair to select jurors who cannot follow the law."


「法廷は、死刑を科す可能性について、いっさいの考慮ができない-重要なのはこの考慮という部分です-陪審員を除外するように、法で定められているのです。ご存知でしょうが、あなたの賛否にかかわらず、死刑はいま、ミシシッピ州はじめ、大多数の州における法的処罰手段のひとつとなっています。すなわち、法律に従えない陪審員を選出することは、不公平な行為ということになります。」



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