5日のアジア通貨市場では、韓国ウォンとフィリピンペソが、ドルのショートカバーを受けて軟化した。だた、アジア株式市場への海外資金の流入が続いているため、大半のアジア通貨は底堅く推移した。

 豪中央銀行がこの日、予想通り政策金利を据え置くとともに、日本の大震災による影響は限定的との見方を示したことで、対アジア通貨でのドルのショートカバーがさらに続くとの見方が和らいだ。


 市場関係者によると、投資家はこの日発表される米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録で米国の金融政策を占おうとしているが、ドルがさらに上昇しても、アジア通貨の強気見通しが後退することはないとみられている。


 ムーディーズによるポルトガルの格下げもドルのショートカバーを誘う可能性があるが、それが長続きするとは考えにくいという。




 ウォンKRW= KRW=KFTCは6営業日ぶりに対ドルで下落。韓国当局がドル買い介入を実施したことで、ドルのショートカバーが入った。


 韓国企業による外国人投資家への配当支払いに伴うドル需要も、ウォン相場の圧迫要因となっている。




 ペソPHP=PHP=PHは、ドルのショートカバーを背景に下落。


 市場筋によると、予想より弱い内容となったインフレ指標もペソを圧迫した。3月のフィリピンの消費者物価指数(CPI)上昇率は前年比4.3%と、市場予想の4.6%を下回った。


 フィリピン中央銀行は、二次的影響とインフレ期待の変化を引き続き注視していくが、インフレは依然として抑制されているとの見解を示した。


 ただ、欧州系銀行のディーラーは、3月のインフレ指標にこのところの原油価格の上昇が反映されていないことからフィリピン中銀は依然として利上げを実施するとみられてると指摘。こうした利上げ観測がペソを支援する可能性があるとの見方を示した。


 


 リンギMYR=MYR=MYもドルのショートカバーで小幅下落した。


 投資家は、マレーシア中央銀行のリンギ高抑制に向けた決意を試すことを望んでいないとみられる。


 マレーシア中銀は1ドル=3.0250リンギ付近で、ドル買い介入を行ったもよう。


 リンギは利食い売りにも圧迫された。


 

4日のアジア通貨市場では、ソウル株式市場への継続的な資金流入を背景に韓国ウォンKRW=KRW=KFTCが対ドルで2年半ぶりの高値に上昇。アジア株を選好する投資家の動きは、インドルピーなどアンダーパフォームしている他のアジア通貨を引き続き支援するとみられている。

 ドイツ銀行のデータによると、アジア株への資金流入は前週、4カ月ぶりの高水準となった。


 HSBCの通貨ストラテジスト、Perry Kojodjojo氏は「投資家は、最も高い成長が見込まれるアジア市場に資金を投資しており、アジア通貨を支援するだろう」と指摘した。


 市場関係者は、一部の通貨当局が自国通貨の上昇抑制に向けて介入する可能性があるものの、インフレ抑制への取り組みから下落はさせないとみている。


 また、インド株への資金流入はルピーの上昇を支援するとみられている。


 原油価格が上昇するなか、インドの経常赤字をめぐる懸念から、ルピーの年初来上昇率は対ドルでわずか0.4%となっている。一方、ウォンとインドネシアルピアは年初来、4%上昇している。


 UBSのストラテジストは、株式市場への資金流入により、経常赤字に対する懸念は「差し当たり」後退するだろうとの見方を示した。




 ウォンは一時、1ドル=1184.0ウォンと、2008年9月10日以来の高値をつけた。その後は、当局がドル買い介入を行ったとみられ、上げ幅を拡大することはできなかった。


 投資家は、ドル/ウォンの14日RSIが26.861と、2010年10月7日以来の低水準まで低下していることから、ドルの下げは行き過ぎだと指摘している。


 ディーラーによると、韓国企業による外国人投資家への配当に伴うドル需要も、ウォンの上値を抑える要因になるという。


 韓国企業は今週、合わせて約1兆ウォン(9億2000万ドル)の配当を外国人投資家に支払う予定。




 インドネシアルピアIDR=IDR=IDは対米ドルで4年ぶり高値に上昇。一時は2007年5月以来の高値となる8662ルピアまで値を上げた。


 中央銀行がルピアの上昇を抑える姿勢を緩めているほか、インターバンク筋がルピアを買い上げた。インドネシアの株式や債券市場への資金流入が引き続きルピアを支えている。


 ディーラーによると、中銀は8675ルピアの水準でドル買いに出ていたが、その後、ドル買いの水準を8670―8660ルピアに引き下げた。


 

1日のアジア通貨市場では、韓国ウォンとシンガポールドルが対円で9カ月ぶり高値をつけた。高利回りのアジア新興国通貨に対する投資意欲の強さがそれらの通貨を押し上げた。

 ウォンは対ドルでも連日で2年半ぶり高値を更新。韓国株式市場への資金流入を背景に、ウォンはアジア通貨全般の上昇をけん引した。


 ウォンは対円JPYKRW=Rで13.0420ウォンまで上昇。対ドルKRW=では1091.0ウォンまで上昇し、2008年9月11日以来の高値をつけた。韓国中銀が介入する明確な兆しが見えなかったことや、輸出業者によるウォン買いも、ウォンの支援材料となった。


 海外投資家は13営業日連続で韓国株を買い越している。 


 一方、円は対ユーロで10カ月ぶり安値に下落し、対ドルでも200日移動平均線を割り込んだ。


 


 インドネシアルピアIDR=IDR=IDは、同国への証券投資を背景に、一時1ドル=8692ルピアまで上昇。2007年5月以来約4年ぶりの高値をつけた。


 市場関係者によると、中銀がルピア高抑制のため、ドル買い介入を実施した。


 ジャカルタのあるディーラーは「消費者物価指数(CPI)上昇率が高ければ、中銀は一段のルピア高を容認するだろうが、3月のCPI上昇率は低く、中銀は引き続き8700ルピア台の維持を目指すだろう」と述べた。


 


 フィリピンペソは、ドルにショートカバーが入り、伸び悩んだ。


 フィリピン中銀幹部が、為替を使って物価を抑制する考えはないとの認識を示したことが背景。


 フィリピン中銀は1ドル=43.30ペソの水準を防衛するため、ドル買い介入を実施しているもよう。

 31日のアジア通貨は上昇。韓国ウォンKRW=KFTCKRW=が2年半ぶりの高値を付けた。

 韓国株式市場への資金流入が続いていることが背景。第2・四半期もウォン高が進む可能性がある。


 ウォンは第1・四半期に3.6%上昇。上昇率はアジア通貨中、最大だった。上昇率ではインドネシアルピア、台湾ドルがウォンに続いた。


 


 ウォンは終盤の取引で1ドル=1100ウォンを抜けて上昇。タイバーツやシンガポールドルなどにも買いが波及した。


 市場関係者によると、韓国、台湾、マレーシア当局は、自国通貨の上昇ペースを抑制するため、介入を実施した。


 アジアの株式市場は、東日本大震災を受けていったん売りが膨らんだが、その後は海外からの資金流入が回復しており、第2・四半期もアジア通貨の上昇が続く可能性がある。


   


 ドル/ルピアのノンデリバラブル・フォワード(NDF)1年物IDR1YNDFOR=は1ドル=9080ルピアに下落、2007年6月以来の安値を付けた。


 ジャカルタのディーラーは「インドネシアは、経済成長を背景に海外からの直接投資が増える見通しだ。ソブリン債格上げの可能性もある」と述べた。


 


 台湾ドルTWDX=は輸出業者による決済目的の買いで上昇したが、中央銀行による米ドル買いで上値が抑えられた。トレーダーによると、台湾中銀は特に1米ドル=29.45台湾ドルと29.55台湾ドル付近で介入したもよう。


 利上げが予想されていた中銀の政策決定を控え、慎重ムードが強かった。


 


 フィリピンペソPHP=は1米ドル=43.35ペソで始まったが、国内銀行が顧客勘定でペソ売りを出したため、上げ幅を縮小した。


 ペソは43.50ペソの支持線が強力で、ユーロや豪ドル相場の堅調もペソを支えている。


 


 シンガポールドルSGD=は米ドルが全般的に軟調に推移する中、過去最高値の1米ドル=1.2590シンガポールドルをつけた。ウォン相場の上昇も、シンガポールドルの買いを誘った。


 ただ、シンガポール金融管理局(中央銀行)が米ドル買い介入を実施したため、シンガポールドルの上値は抑制された。


 

 30日のアジア通貨市場では、韓国ウォンKRW=KFTCKRW=がヘッジファンドの買いで上昇し、対米ドルで7週間ぶり高値をつけた。

 市場では第2・四半期もアジア市場への着実な資金流入が続き、ウォンが他のアジア通貨の上昇をリードする展開になるとの見方が広がっている。


 ウォンは一時、1米ドル=1103.90ウォンまで上昇。予想に反して韓国当局による市場介入がなかったことから、マクロ・ファンドや他の投資家によるウォンのショートカバーが膨らみ、上昇に弾みがついた。


 他のアジア通貨も堅調に推移したものの、おおむね落ち着いた動きだった。


 韓国株式市場では11営業日連続で外国人が買い越し、これは昨年10月以来の最長期間となった。韓国株への強い需要を受け、ウォンは日本の大震災以前の水準を上回った。ウォンは大震災以降、対ドルで1.8%上昇している。


 


 ウォンの終値は1104.2ウォンで、2010年4月末以来の高値。第1・四半期を通じては2.8%上昇している。


 ウォンは韓国市場終了後の海外市場で一段高となり、1101.6ウォンまで上昇している。


 韓国当局が市場介入を見送っていることから、インフレ抑制のためさらなるウォン高を容認するのではないかとの観測が広がっている。


 


 市場関係者によると、インドネシア中銀は再びルピアIDR=売り介入を実施したもよう。


 ただ海外勢の買いで上昇圧力は強く、中期的に1ドル=8705ルピアに向けて値上がりする可能性も指摘されている。


 投資家の間では、中銀が物価高抑制のため、ルピア高を容認するとの見方が出ている。


 


 スタンダード・チャータードは、バーツTHB=で資金を調達し、マレーシアリンギMYR=やルピアなど他の新興アジア通貨で運用する取引を推奨している。


 バーツは、タイの対外収支悪化や今後数カ月の政局の見通し不透明感を背景に、引き続きアンダーパフォームする見通しという。