憲法改正条文案を起草する作業部会の設置を | たまき雄一郎ブログ

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臨時国会で実質的な議論としては2回めとなる憲法審査会が開会されました。毎週木曜が定例なので、12月13日までの国会会期末まであと1回しか開けません。

 

岸田総理が来年9月の総裁任期中の憲法改正をめざすといいつつ、自民党含め本気度が感じられないと前回の憲法審査会で苦言を呈しましたが、祝日を挟んで2週間経っても状況に変化が見られません。

 

絶望的な徒労感を感じつつも、憲法改正条文案を起草する作業部会の設置を憲法審査会長に求めました。「ネオ55年体制」の壁は厚いですが、これからも諦めることなく憲法改正の議論を少しでも前に進めていきます。

 

衆議院インターネット審議中継より

 

憲法審査会発言要旨(2023年11月30日)

 まず、中谷筆頭幹事に確認したい。岸田総理は、ご自身の考える憲法改正のスケジュールは、来年9月の任期中だと明言された。であれば、今国会で憲法改正のテーマを絞り込み、条文案を作らないととても間に合わない。しかし、今臨時国会、憲法審査会の定例日は会期延長がなければあと一回しかないし、次回の最終回も、総括的な自由討議で合意したと聞く。正直、党の総裁が表明しているスケジュールで憲法改正を進めるつもりがあるのか甚だ疑問だ。先日の国会での総理発言後、岸田総裁と打ち合わせをしたのか。確認したい。

 自民党側の熱意と本気度が感じられない。正直、絶望的な徒労感を感じている。前回と同じことを申し上げて恐縮だが、自民党の憲法改正は、保守層を繋ぎ止めるための「やるやる詐欺」になってはいないか。来年9月までの任期中に改憲したいなら選択肢は一つ。それは、これまで丁寧な議論を重ね、4党1会派で概ね意見の集約が図られてきた「緊急事態における議員任期の特例延長規定の創設」だ。私たち国民民主党、日本維新の会、有志の会の2党1会派による共通条文案もある。会長にお願いしたい。議員任期の特例延長規定を創設する憲法改正条文案をつくる作業部会の設置を求めたい。

 今から他のテーマに手を広げても来年9月に間に合わない。9条の2を創設して自衛隊を明記する、いわゆる「自衛隊明記論」は、前回も申し上げたが、違憲論を解消することのできない中途半端な内容になっている。9条を改正するなら、もっと緻密な議論を行うべきだ。とても来年9月までには間に合わない。
 緊急政令についても、我が党は必要だとの立場だが、与党の公明党さんが慎重な姿勢を示しておられる。これも来年9月に間に合わせるのは容易ではない。
 立憲民主党さんが改憲も一案だと考えている「データ基本権」などについては、我が党は早くから提案しており賛成だ。ただ、必ずしも憲法に書き込む必要はないのではないかとの意見が公明党や立憲民主党の中にもあるだろうから、これも来年9月までに合意を得ることは困難だ。
 であれば、来年9月までに発議ができる可能性があるのは、議員任期の特例延長規定の創設しかないのではないか。最も幅広く合意が得られたテーマだ。改めてこの議員任期の特例延長規定を創設する憲法改正条文案を取りまとめる作業部会の設置を求めたい。

 次に、立憲民主党の奥野議員に確認したい。中川筆頭幹事からは、立憲民主党は議員任期の特例延長には反対だと明言したが、奥野議員はかつて、戦時等、選挙が困難な事態においては、議員任期の延長を可能とする憲法改正も検討の余地ありとする旨の発言をしておられた。考えを変えたのか。

 そして、奥野議員だけでなく、野党第一党である立憲民主党さんにお願いしたいのは、憲法改正絶対反対ではなく、前向きに議論に参加していただきたい。有事における権力の適切な統治のあり方たについてはイデオロギーを超えて「国会中心主義」の観点から合意を得られるテーマだと考える。

 憲法改正をやるやると言ってやらない与党自民党と、一字一句憲法を変えてはならないとこだわる野党第一党との間の奇妙な共闘関係が続く「ネオ55年体制」が続く限り、憲法改正をめぐって野党は割れ続け、政権交代も実現しない。逆説的に聞こえるかもしれないが、今の硬直した状況を打破するためには、野党第一党が幅広く合意が得られるテーマで改憲議論をリードすることが必要ではないか。

 最後に、国民投票法改正案について一言申し上げたい。我が党も、基本的な問題意識を同じくしているし、立憲民主党の提案する国民投票法改正案の成立には最大限協力したい。ただ、ネット広告をどこまで規制するかは、国民広報協議会におけるネット広報がどこまで行われるかとセットで考える必要がある。一番正確な情報発信ができるのは改正案を取りまとめた政党だ。その政党からの発信が禁止される一方で、偽りのプロパガンダが拡散されると、国民の正しい判断が歪められてしまう。政党等による情報発信を幅広く禁止する前に、国民広報協議会でいかなる情報発信がどこまでできるかを具体化する必要があると考える。録音録画の公営限度額をどこまで認めるかも重要な要素だ。

 そもそも、ネットの世界では、情報を規制するよりも、正しくバランスの取れた情報をたくさん出すことによって、誤った情報を駆逐していくのが正しいアプローチだと考える。ここで立憲民主党に質問があるのは、フェイクニュース対策と言った際に、例えば、ネット広告禁止期間中に、護憲を訴える団体が「国民民主党が主張する緊急事態条項はナチスを生み出すものだ」といったフェイクニュースを有料広告で発信した場合、その発信はフェイクニュースとしてきちんと規制されるのか。また、政党として有料広告を出して反論することも禁止されるのか、奥野議員に答弁を求める。

 議員任期の特例延長規定の創設のための憲法改正条文案作りも、国民投票法改正の議論も両方並行してやればいい。とにかく大切なことは、堂々巡りを繰り返すのではなく、議論を具体的に前に進めることだ。最後に改めて、憲法改正の条文案づくりに着手する作業部会の設置を求めて発言を終える。