オンライン国会を可能とする憲法解釈を今日決めよう | たまき雄一郎ブログ

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衆議院議員玉木雄一郎のオフィシャルブログです。

本日、今国会2回目となる憲法審査会が開催され、オンライン国会に関して、先週2月10日の憲法審査会で私が提案した憲法56条の「出席」の解釈について議論されました。

 

2週連続定例日に開催されたことも含め、一歩前進ですが、オンライン国会の実現は待ったなしであるにもかかわらず、解釈を確定させることができませんでした。感染症のまん延で国会機能が維持できるかどうかは、今そこにある危機であるにもかかわらず、与野党ともスピード感に欠けます。

 

衆議院法制局の橘法制局長からもオンライン国会に関する論点が示されました。とてもよく整理されていますので、資料をご紹介します。

▲憲法審査会での衆議院法制局説明資料(クリックするとPDFが表示されます

 

国がリモートワークや自宅待機を求めているのに、国会だけが例外であっていいはずがありません。今後も早急な解釈の確定を主張していきます。

 

参考▶国民民主党が2020年12月にとりまとめた「憲法改正に向けた論点整理」はこちら。新時代の人権保障と統治機構の再構築を通じて憲法の規範力を高める具体的な改正条文案を盛り込んでいます。

 

以下、私が国民民主党を代表して発言した概要です。

 

衆議院憲法審査会発言要旨
(令和4年2月17日)

まず、議場の同僚議員と共有したのは、スピード感を持って結論を得ようということ。もちろん丁寧で包括的な議論も必要だが、今なお新型コロナウイルスの感染は拡大しており、議員や秘書、国会職員において感染者や濃厚接触者が急増した場合、国会機能が維持できなくなるとの危機感を共有して議論を進めたい。一致できる点については、今日にでも、結論を出すことが必要だということを申し上げたい。

具体的に言えば、憲法56条1項における「出席」の概念についてこの場で整理し、それを審査会の意思として、森会長から衆参両院の議長に対して示していただくことを求めたい。その意味において、本日の議論は、各党・各会派からの単なる意見表明ではなく、是非とも合意に至るような議論をしようではないか。会長においても、意見の集約に意を用いていただきたい。

以下、オンライン国会に関する我が党の意見を、論点に沿って述べたい。

まず、56条1項の「出席」の概念については、「物理的出席説」と「機能的出席説」があるが、国民民主党は新しい有力説とされる「機能的出席説」を採る。憲法制定時にはインターネットはなかったが、現在においては、ICTを活用すれば、必ずしも「空間的・場所的」な議場に現在しなくても、「①議論に参加し、②賛否の意思を形成し、③自らが評決に参加する」という3つの機能の実現は可能であって、「出席」にはオンラインによる参加も含むものと考えるのが自然であり、オンライン国会の実現には憲法改正は不要であると考える。

ただし、あくまで物理的出席が原則であって、コロナ禍においては物理的近接を避ける必要性がある中で「議会の機能」を維持・保証する観点から「オンライン国会」を「例外的・限定的」な制度として位置づけて導入することが望ましいと考える。

なお、オンラインの利用は、①物理的な出席が困難な緊急事態において国会全体の機能の維持のために認める場合と、②妊娠・出産や疾病・障害といった個人の事情に照らして権限行使を認める場合とが考えられるが、今回は、①の緊急時における対応について速やかに結論を得るべきと考える。

まず、こうした「出席」の概念の拡張についての考え方を整理し、森会長から衆参の議長にお伝えいただきたい。これを踏まえて、速やかに両院の議員運営委員会において、必要な規則改正手続きに入るべきだと思う。国民民主党としては具体的な条文を取りまとめているので、参考にしていただきたい。例えば、「本会議での表決」を定めた衆議院規則148条を以下のように改正してはどうか。「表決の際、議場にいない議員は表決に加わることができない。ただし、感染症のまん延等により議員が議場にいることが著しく困難であると議長が認めたときは、議員は、議長が定めるところにより、表決に加わることができるものとする。」

そもそも、現下のコロナ禍の状況を踏まえ、衆議院規則の改正ではなく、議院の自立権に基づく裁量の範囲内として、特例を「本会議での議決」によって設けることもできると考える。その場合は、規則改正すらいらないとも言える。この点について、改めて法制局の意見も伺いたい。

最後に、スピード感が重要であることを改めて申し上げたい。なぜなら、オンライン審議を実現するためには、実務上クリアーしなければならない論点も多数存在する。だからこそ、その前提として、本日ここで、憲法の「出席」についての概念の拡張についての考えをとりまとめ、憲法審査会としての考えを速やかに確定させる必要がある。そもそも、憲法の第4章「国会」は、国会自身が解釈権を持つと考えられる珍しい部分で、解釈は国会で決めるべき部分である。コロナ禍で明らかになった憲法上の課題に、憲法審査会のメンバーとして、立法府の一員として責任ある解決策を示していこうではないか。改めて、森会長の取りはからいをお願いしたい。

来週木曜日の定例日には必ず憲法審査会を開催し、粛々と速やかに議論を進めることを求めて、発言を終える。

 

衆議院インターネット審議中継より