これでは増税は財政再建につながらない。 | たまき雄一郎ブログ

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来年度予算の編成が進んでいる。


新聞各紙は、国債費(借金の元利払い)を除く政策経費が、過去最大の73兆円前後に増えると報道しつつ、「国債発行額は昨年度より1兆円少なくなる」、「税収は7年ぶりに50兆円を超える」など、政府の出す情報を垂れ流して書いている。


これは大問題である。


そもそも来年度から消費税増税で5兆円程度新たな財源が入ってくる。それをごっちゃにして7年ぶりに50兆円の税収と言っても意味がない。あたかも自然増収が大幅に増えるような誤解をまき散らすことはやめるべきだ。自然増収はそんなに増えない。


また、消費税増税分5%のうち、①4%分が国債発行を抑制するための「安定化」に、②残り1%分が社会保障政策拡充の「充実」に充てられることになっていた。そうであれば、来年度の消費税増収分5兆円のうち、安定化に充てられるべき4兆円程度は、その分国債発行額が減らないとおかしい。


しかし、国債発行額は1兆円しか減らない見込みだ。ということは、その差額分(少なくとも約3兆円分)だけ歳出が膨らみ、財政状況は好転などしない。昨年度の政策経費が約70兆円であったことを考えると数字も付合する。


にもかかわらず、1兆円国債発行が減り、あたかも財政状況が好転しているかのように報じることは明らかに国民に誤解を与えている。


しかも本来減るべき国債発行額が減らないということは、消費税増税分が間接的に社会保障以外の「目的外」に使用われることになる。法律の趣旨にも反する問題のある予算編成と言わざるを得ない。


メディアの皆さんにおかれては、こうした政府の誤魔化しに加担することなく、現状を正確に国民に伝えていただきたい。財政再建は、国民が国の予算を他人事ではなく我が事として意識しない限り進まないからだ。


とにかく、世の中にタダのものはない。税収の倍近くの予算を組んでいることの異常さを異常だと思い続ける正常さを失ってはならない。