「フェラーリ」(2024)
アダム・ドライバー ペネロペ・クルス
1947年元レーサーのエンツォ・フェラーリと妻ラウラが立ち上げた自動車メーカー・フェラーリは、1957年業績不振に陥っていた。
前年には難病で息子のディーノを失くし、夫婦の関係も冷え切っていたところに、エンツォの愛人・リナと息子ピエロの存在をラウラは知る。
アダム・ドライバー演じるエンツォの見た目にうっとり。
50年代の街並み、家、車、ファッション、すべてが素敵。
エンツォは仕事の場面ではかっこいいんだけど、夫として、愛人を持つ身としては、ずるすぎて最低だった。
でも妻も愛人も最後まで彼と離れなかったのは、愛も情もあるだろうけど、どこか哀れだからかなあ。
レーサーとして生きるのは、いつも死を覚悟して生きるということだから、いちいち自分の感情を丁寧に感じ取っていてはできない仕事なんだろう。
だから感情など、見て見ぬふり、ないものとして扱うしかない。
自分の感情を丁寧に扱えない人間は、他人の感情を想像したり、思いやるのは難しい。
自分の近くにいることを選ぶなら、自分同様、感情を押し殺して、覚悟して生きてもらうしかなかったのかもしれない。
そんなエンツォを哀れだと、彼女たちは思ったのかもしれないなあ。