「異人たち」(2024)
アンドリュー・スコット ポール・メスカル
ロンドンのタワーマンションに一人で暮らす脚本家のアダムは、ある夜、同じマンションに暮らす初対面のハリーに突然部屋におしかけられ入室を断る。
その後、12歳で交通事故死した両親について脚本を書こうと思い立ち、郊外の実家を訪ねると、そこでは30年前の姿で父母が暮らしており、アダムを招き入れる。
映画を見ながら、私の気持ちも親になったり子になったり、めまぐるしかった。
どちらの時もぎゅうぎゅうとしめつけられるように悲しいのは同じだった。
12歳で突然別れることになった息子と再会できたら、そりゃあ相手がおじさんになっていても愛おしむだろうし、あれこれ心配するだろうし、子にしたこと・しなかったことを後悔し、自分を責めるだろう。
12歳で突然死に別れた両親にまた会えたら、十分に大人という年齢で、自分の方がもはやおじさんだとしても甘えたくなるだろうし、責めたくなるし、足りない時間を取り戻そうとするだろう。
結局、互いに伝えたいのは、愛しているってことだけ。
親離れ子離れ、親子の自律、自分自身の自立に必要なのは
自分でできるだけ、へたくそなりに、愛情があることを表現してみせることと
あれはへたくそなりに相手の愛情表現だったのかなあって想像することかな、と思った。