「三千円の使いかた」 原田 ひ香
御厨(みくりや)家の次女・美帆はIT関連会社で働き念願の一人暮らし、長女・真帆は消防士の夫と3歳の娘と暮らし、習い事を楽しむ母・智子は夫と二人で暮らし、祖母・琴子(智子の義母)は近所でひとりで暮らしていたが、それぞれに人生の節目が訪れる。
あまりに話題になった本なので、おもしろいだろうと思っていたけど、おもしろい。
読みやすく軽い文体なのに、その裏に表現された著者の思いまで、じわっとにじんできてぐんと心の底まで届き、はっとする。
自分とそう世代の変わらない作家たちの活躍がうれしい。
誰の話を読んでも興味深く、そうそうと納得する。
これまで通ってきた道、今まさに通っている道、これから先通る道
いつだってはっきり見通せる、なんてことはなかったし、これからもないだろう。
それでもなんとか生きて今ここにいる。
それは自分への信頼を育てる、一番つつましいけど最強の事実だ。
費用対効果なんて、考えてたら何もできない。
何かをやってみる。
とりあえず自分にできるなかで、そこそこそれなりで、自分と身近な誰かがちょっとした幸せを感じられる程度でいいから
何かをやってみようと思える。