「イップ・マン 外伝 マスターZ」(2019)

マックス・チャン  ミシェル・ヨー  トニー・ジャー

 

 

詠春拳の正統争いに敗れたチョン・ティンチは、食料品店を営み息子のフォンと暮らしていた。

ある日街で男たちに追われるジュリアとナナを助けると、繁華街を支配する長楽グループのキットから恨みを買い、店が放火される。

 

 

トニーちゃん祭り。

最初の出番だけで終わりかと思っていたけど、おいしいとこどりのいい役だった。

ティンチとも互角に戦い、こいつ、できる!と2人の間のほのかな友情を感じられたのも良い。

 

「正道に戻るのは裏道を進むより難しい」みたいな、長楽グループの姉御さんの言葉に深くうなずく。

裏世界で力をつけてきた長楽グループが足を洗うのも、生涯をささげてきた武道を捨てるのも、とても難しいことだろう。

 

そこを離れるのは、むしろそこに戻るため、という姉御さんの言葉もまたそうなのだろう。

そこを離れたからこそ手に入れられるものがある。

離れなければ一生手に入らないそれは、自分にとって何よりも大事なものだったりするから、またそこに戻るのは分かっていてもあえて離れる必要がある、ということか。

 

過去をなかったことにすることはできないし、できるとしてもとても長い時間がかかる。

すべてを受け入れるためには、そうせずにいられないことや、起こらずにすまないできごとは、あるのだろうなあ。