「姑の遺品整理は、迷惑です」 垣谷 美雨

 

 

団地の4階でひとり暮らしをしていた姑の多喜(たき)が亡くなり、望登子(もとこ)はできるだけ早く部屋を解約するため、遺品整理をすることになる。

夫は仕事に忙しく、業者に頼む金もないので、ひとりで取り掛かる。

 

 

天袋に詰まった高価な未使用の食器類、ちょっとしゃれたバッグはパーティ用にとっておけという夫、パーリー?と反抗する妻、あふれるほどの買い置き品、新しく買ったのに古いモノも捨てずにとっておくこと

あーあるある、と笑う。

 

姑に文句を言いながら、それに比べて実母は…と何度も出てくる比較、もったいないと思うことのストレス、モノが多いほど集中力が減ること、モノの持ち主によってこちらの気持ちも変わること、親が亡くなってみてようやく「もっと話をすれば良かった」と思うこと

あーあるある、としんみりする。

 

父が亡くなったので、実家を片付けているが、とにかく物の多いことに圧倒される。

何やってんだとあきれながらも、愛情と切なさをしみじみ感じながら作業している。

遺品整理は大変だけど、故人に思いを馳せる最後の濃厚な時間のような気がする。

 

すっきりさっぱり何もなく、かける迷惑は最小限にしたい、という気持ちもあるし、私の残したモノを見て、子らはいろんなことを思うだろうと思うと、そんな時間もあってもいいかとも思う。

 

ゼロ100でなく、間をゆらゆらして、そこそこの結末をそれなりに準備することを、今の自分は望んでいるなと思った。