「どちらかが魔女 森博嗣シリーズ短編集」 森 博嗣

「ぶるぶる人形にうってつけの夜」「誰もいなくなった」 他 全8編。

 

 

「どちらかが魔女」

 

 

大学院生の西之園萌絵(にしのそのもえ)は今夜のパーティに父・捷輔(しょうすけ)の代わりに喜多助教授を呼ぼう、と叔母の佐々木睦子(むつこ)に言われる。

 

 

同じ人物が出てくる連作短編集だった。

彼らのことはまったく知らないが、誰も彼も好人物に思える。

とにかく上品で、おだやかで、ユーモアはあるがいじわるではなく、頭のよさを心地よさに向けられる、気持ちの良い人たちばかりだ。

この人達の掛け合いをもっと見ていたい、と思う。

だからシリーズになっているんだろう。

 

西之園萌絵が、大好きな犀川に言われた、世の中いつもすぐ答えが見つかるわけじゃない、どれだけ沢山のものを保留していられるかが重要な能力の1つ、という言葉に私もはっとする。

 

何か問題が発生ずるとすぐさま答えを知りたくなる。

調べるだけならまだしも、自分で安易に答えを出して勝手に満足していることもある。

ゆらいでいられない、安定していたいんだけど、焦るとろくなことにならない。

 

ゆらゆらしながらあれこれ考えたり感じられることは、確かに穏やかに生きるために、重要な能力と言えるだろう。