「現代生活独習ノート」 津村 記久子

「レコーダー定置網漁」「台所の停戦」 他 全8編。

 

 

「牢名主」

 

 

自分はB群であると35歳で自覚した私は、A群から逃れるため仕事をやめ引っ越した先で、B群の自助グループがあると知り、雑居ビルの一室を訪れる。

 

 

簡単に言うとA群は搾取し、B群は搾取される側、ということだろう。

思わず「アドリアナ バーブラ」で検索してしまうほど、リアリティのある病気というか症例とも言えそうな人間関係の話だった。

 

A群の人間とB群の人間が出会うと、きっとこうなるのだ。

そういう関係は実際あちこちで展開されているんだろう。

しかもB群だと思い込んでいたら実はA群であったり、B群でありたがったり、人間とは複雑なものなのだ。

ぼんやり感じていたことが明確に表現されておどろくやらおもしろいやら。

 

その辺の複雑さを淡々と、みっちりと、ユーモアと恐怖をにじませながら表現する津村記久子はやっぱりすばらしい。