「アンネの日記 増補新訂版」 アンネ・フランク (訳)深町 眞理子
ナチスドイツの占領下、13才から15才まで、ユダヤ人のアンネ・フランクは家族らと隠れ家で過ごした。
自分用と公表用を編集した「完全版」に新たに発見された日記を付け加えた「増補新訂版」である。
中学生のころ、最初の数ページだけ読んでやめた。
アンネが書いたクラスメイトの評価に腹が立ったからだ。
でも私も大人になり、13才ならそんなものと思えるようになった。
どころか、ジャーナリストを志すだけあって、アンネの文章はとてもうまいことに圧倒された。
しかもこれはナチスドイツ占領下の隠れ家で、明日をも知れぬ日々のなかで書かれたのだ。
それでもユーモアを忘れなかったアンネ、自分に正直であり続けたアンネを尊敬する。
8人の家族らのうち、生き残ったのはアンネの父、オットーだけだった。
アンネのなかに強く輝く希望の光は、この父親から受け継いだもので間違いないだろう。
過酷な条件を生き延びるのに必要なのは、それでも希望を胸に抱けるかどうかなのだ。
アンネにもう少しだけ体力があれば、きっと生き延び、世界にむけて発信するジャーナリストになっただろうと思う。