「夜想曲集」 カズオ・イシグロ

「老歌手」「降っても晴れても」他 全5編。

 

 

「降っても晴れても」

 

 

レイモンドは、大学時代からのつきあいのチャーリーとエミリ夫婦のもとへ泊めてもらうため、ロンドンを訪れた。

 

 

カズオ・イシグロってこんなコメディも書くんだなあ、とおどろいた。

傍から見たらコメディでも、当の本人たちには深刻なできごとなんだろうけど、読んでいてにやにやしてしまった。

 

レイモンドが犬のヘンドリックスが暴れたように装うため、部屋をわざと荒らしているときに帰宅するエミリー。

エミリーから見ればレイモンドは病みに病んだあわれな男だし、レイモンドから見ればいろいろ丸くおさめるためにただ真剣にやっていただけのこと。

 

この見方、とらえ方の違いでものごとは悲劇にも喜劇にもなるんだなあ、と思った。