「自転しながら公転する」 山本 文緒

 

 

アウトレットモールのアパレルで契約社員として働く32歳の都は、同じモールの回転寿司で働く寛一で付き合い始める。

 

 

未婚で、仕事にもそこまで情熱はなくて、親は病気持ちで、彼氏は結婚に前向きではない。

世界中にいる誰かの話であり、この世にひとりの自分だけの話。

 

視野が狭くなるほど、世界は暗く、苦しいものになる。

視野を狭くしているのは自分なんだけど、なかなか気づけないものだ。

 

常識だと思ってることは実は単なる思い込みだったりするんだけど

それに気づかないように(気づかせないように?)

心の余裕を持てないように、いつも急いでいるのが普通になっているのは

地球がぐるぐるとまわりつづけているせいなんだろうか?

 

軌道から外れるのはこの世の終わりみたいに怖いことだけど

ぽんと外れてみると実はなんてことない、というのはよくあることだよね。

 

やっぱり山本文緒はおもしろい。

もっと読みたかったなあ!

ご冥福をお祈りいたします。