「ノン子36歳(家事手伝い)」(2008)

坂井 真紀   星野 源



バツイチ、出戻り、家事手伝いと称して何もせず

実家で怠惰な毎日を過ごす36歳の女。

ある日実家の神社に「祭りの日に屋台を出したい」という

若い男が現れる。


かつてタレントとして活躍し、業界人の夫もいた

華やかな人生を送っていたのに

離婚し、実家住まい。

家は神社で父親は厳格。

妹は神社を手伝う夫とかわいい娘をもち

親の理想のような人生を送っている。

そんな中何もない自分、どんなに息苦しかっただろう。


そんな中現れた男は

「世界に出たい」という夢を持ち

屋台を仕切るヤクザに商売を断られるが

希望を捨てずにその日を待つという。

男は女の実家に居候するようになる。

女は自分の世界に風穴を開けてもらえると思ったのではないだろうか。


ちょうどそのころ

元夫が現れもう一度タレントとしてやってみないかと

女を誘う。

再び希望を持とうとした女はそれが嘘だったことを知る。


その時の絶望ってどれだけのものだったろう。

同じく男も祭り当日にヤクザに再び断られ

大ぜいの前で暴行されて

チェーンソーを手に祭りを壊しにかかる。

ものすごい絶望の爆発だと思った。


むちゃくちゃだ。

でも

その男のしたことを見て

10人くらい通れそうな風穴が開いたのを女は見ただろう。

ふたりは一度一緒に逃げ出すが、

女はひとりまた元の場所に戻る。


その後も同じ、何もない暮らしが続くんだろうけれど

女は確かに何かが変わったのを感じていると思う。

男は現れるべくして女の前に現れたのだなあと

運命の不思議を思った。