■石丸伸二はなぜ都民のロマンをかき立てるのか? | タマちゃんの暇つぶし

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MAG2 NEWS:石丸伸二はなぜ都民のロマンをかき立てるのか?小池vs蓮舫の“古い都知事選”に挑戦する「 #東京を動かそう 」石丸現象の正体2024.06.21より転載します。
 
貼り付け開始、

https://www.mag2.com/p/news/601974
 

「恥を知れ」と居眠り議員を叱りつけ、道理の通らぬ記者には議論だって吹っかけた。会見で質問をはぐらかすばかりの小池都知事とは好対照の人物が、安芸高田市長の職を辞して東京都知事選に名乗りを上げている。石丸伸二41歳。彼が掲げる「 #東京を動かそう 」のスローガンは、古い政治をどう変えるのだろうか。元全国紙社会部記者の新 恭氏が、もはや泡沫とは言えない「石丸現象」の本質にせまる。(メルマガ『国家権力&メディア一刀両断』より)
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:石丸伸二氏は「小池VS蓮舫」構図に風穴を開けられるか

「石丸伸二現象」観測、東京都知事選

6月20日に告示される東京都知事選挙。現職の小池百合子氏は学歴詐称疑惑などものともせずに出馬を表明し、メディアは「小池VS蓮舫」の激突、事実上の与野党対決……などと勝手に決めつけ、はやし立てている。

だが、もうひとつ気が乗らないのはなぜなのか。所詮は、政党、宗教団体、業界団体、労組といった組織がフル動員され、とどのつまり、様々なしがらみから抜け出せない古い政治が続くのだろうと諦めが先に立つからかもしれない。

その決まり切った構図に風穴をあける立候補予定者として、期待が寄せられているのが、前広島県安芸高田市長、石丸伸二氏である。YouTubeやX(旧ツイッター)に親しむ人であれば、おなじみの顔だ。

本会議の最中に居眠りしている議員を「恥を知れ」と批判し、議員数を削減する条例案を提出して議会と対立。記者会見では記者に議論を吹っ掛ける。妥協をせず、忖度もなしに相手を論破する。なれ合い町政に浸りきった議員や出来の悪い記者にすれば災難のようなものだ。

かといって石丸氏は激高するわけではなく、あくまで冷静沈着。とにかく、筋を通さねば気が済まないのだ。

そういう姿を、包み隠さずネットで公開するものだから、見たこともない鮮烈な政治家像が視聴者の心に描かれ、自然、フォロワーが増えてゆく。

有権者のロマンをかき立てる不思議なカリスマ性

6月15日、石丸氏は東京で初めての街頭演説を渋谷で行った。「SHIBUYA TSUTAYA」の前に、あっという間に人だかりができた。

東京に帰ってきたという感じです。日本が豊かな国であることは事実。一方で世界の国々は成長を続けている。日本ヤバいなという危機感がある。揚げ足取られるだろうと思って東京解体と言ったが、解体が目的ではなく、スクラップ&ビルド。創造的破壊だ。イノベーションをこの街から起こしていきたい」

演説口調ではなく、ほどよく間をとりながら、無駄のない言葉でじっくり語りかける。

目立つ容姿でも、際立った声でもないが、理詰めで、説得力があり、不思議なカリスマ性を帯びている。

ひょっとしたら東京に“旋風”を巻き起こし、傲慢で閉鎖的な小池都政を終わらせるのは、どの政党にも組織にも属さないこの人ではないか、とロマンをかき立てられる。

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泡沫候補ではない。石丸伸二氏を支援する「選挙の神様」

石丸氏は京都大を卒業、三菱UFJ銀行のアナリストをしていたが、参院選広島選挙区での大規模買収事件にからんで、故郷・安芸高田市の市長が辞任したのを知り、東京からUターン、無風と思われた市長選にチャレンジして2020年8月に初当選を果たした。

1期4年で市政を投げ出すのかという声もあるが、本人は「財政再建や小中学校の給食費無料化をやりとげた」と批判を一蹴する。地方都市の市長を経験したからこそ、少子高齢化のもとで過疎化が進む地方と、過密化によって住みにくさが増す東京のギャップが日本の抱える最大の問題であることを実感し、「東京を動かして、地方を変えたい」と立ち上がった。

選挙の本格的な準備は2週間ほど前からはじめた。選挙参謀はつい最近知り合った藤川晋之助氏だ。知る人ぞ知る選挙プランナー。小沢一郎氏に頼まれて旧民主党の選挙を手伝ったのをきっかけに、意気に感じれば党を超えて国会議員や首長らの選挙戦略を手がけてきた。17年からは東京維新の会の事務局長として維新の東京進出を牽引したが、現在は維新を離れ、国会近くに「藤川選挙戦略研究所」をかまえている。これまでの戦績は130勝13敗を誇る。

その藤川氏を口説いて陣営に引き入れたのはドトールコーヒーの名誉会長、鳥羽博道氏だ。とはいえ、鳥羽氏が石丸氏を知ったのは、YouTubeでありのままの言動を視聴したからにほかならない。感動のあまり石丸氏に手紙を送ったことから対面が実現。1回会っただけで、たちまち魅了されたらしい。

選対本部長の小田全宏氏もユニークな人物だ。実業家でもあり、人間学の教育者でもあり、富士山を世界遺産にする運動に功績があった一人でもある。小田氏もまたYouTubeで石丸氏の存在を知り、関心を抱いた。知人の紹介で1か月ほど前に初めて石丸氏と会い、選対本部長を引き受けた。

鳥羽氏、藤川氏、小田氏。3人を石丸氏に結びつけたのは利害関係でも地縁・血縁のたぐいでもない。ネット動画を見て石丸氏に心を動かされたのが全てのはじまりだった。

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「長年選挙をやっているが、こんなのは初めて」吹き始めた風

石丸氏は市長の仕事をすべて済ませたうえで、6月12日に上京した。

先に準備に取りかかった藤川氏らが大いに焦ったのは言うまでもない。とにかく何もかもが遅い。しかも、無所属だから資金もない。組織もない。頼みはボランティアと個人からの寄付だけだ。

それでも、募集して1週間のうちに2000人ものボランティアが集まり、15日に都内で開かれた「後援会ボランティア説明会」には1000人がつめかけた。

1億円を目標に寄付を募ったら、15日時点でほぼ半分を確保できた。藤川氏は「長年選挙をやっているが、こんなのは初めて」と舌を巻いた。

縁もゆかりもなかった人々が、ネット動画を媒介にして、石丸氏にほれ込み、大きな応援団を形成してゆく。カネや地盤や組織に頼り、世襲議員がはびこるこの国の選挙風景を一変させるような動きだ。

しかも陣営の中核には、「選挙の神様」とも称される藤川氏や、政界とのつながりが深い小田氏が加わっている。

地方都市の元市長が、全く基盤のない東京へ乗り込んで、名うての選挙参謀とともに、どのような選挙戦を繰り広げるのか。「小池VS蓮舫」の影に隠れたままでは、もったいない。そういう思いでこの記事を書いた。

むろん、世界に小池氏と蓮舫氏しか存在しないかのような既存メディアの報道ぶりでは、いかにネット上の人気が高い石丸氏とて、苦戦は免れない。

だが、街頭に出て演説を繰り返すうちに、人が人を呼び、驚くほど熱気に満ちた選挙活動に発展していく可能性がある。そうなれば当然、大メディアも軽く扱えないようになってくるのではないか。

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大手メディアがスルーする「石丸現象」は本物か否か

かつて小池百合子氏がブラックボックスだと批判して乗り込んだ東京都政だが、いまや、小池氏自身がブラックボックス化している。

都議会で野党議員から批判的な質問をされたら、身代わりに都幹部にペーパーを読ませて自らは答弁拒否。記者会見でいやな質問が出ると、わざとかみ合わない話をして、するりと身をかわす。これでは民主主義は機能しない。

にもかかわらず、メディアは「AIゆりこ」など現職知事の強みを利用した選挙用の宣伝を喜々としてテレビ電波に乗せ、あたかも小池氏が何か先進的なことをやっているかのようなイメージを都民、国民に植え付けている。

50人をこえる立候補が見込まれる今回の都知事選。無党派層がどの陣営に流れ込むかが勝敗の帰趨を握る。これまでの常識で言えば、圧倒的に小池氏が有利なのは間違いない。蓮舫氏がそれを激しく追う情勢なのも確かだろう。

だが、この国の多くの人々はこう思っているのではないか。政治とメディアの病んだ関係を吹き飛ばし、生き生きとした新風を吹き込んでくれる若い政治家はいないものか。いたら、応援したいと。

「都政の見える化」を唱えて現れた石丸伸二という人物がホンモノなのかどうか。誰に一票を投じるにせよ、まずはその主張をじっくり聞いてから判断しても遅くはない。

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image by: 【公式】石丸伸二のまるチャンネル – YouTube

 

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