■安倍氏“暗殺”から2年。何ひとつ解明されていない | タマちゃんの暇つぶし

タマちゃんの暇つぶし

直ぐに消されるので、メインはこちらです→ http://1tamachan.blog31.fc2.com/ 

MAG2 NEWS:安倍氏“暗殺”から2年。何ひとつ解明されていない自民党と統一教会「闇の本質」を有田芳生氏が斬る2024.06.02より転載します。
 
貼り付け開始、

https://www.mag2.com/p/news/600308
 
th20240531
 

2022年7月8日に発生し、日本中に大きな衝撃を与えた安倍元首相銃撃事件。間もなく2年が経とうとしていますが、この事件により可視化され徹底追求が喫緊の課題とされた自民党と旧統一教会の癒着関係は、どこまで究明されたのでしょうか。今回のメルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』では、旧統一教会と長きに渡り対峙してきたジャーナリストの有田芳生さんが「特別寄稿」という形で、安倍氏暗殺から今日に至るまでの報道内容について検証。さらに岸田政権の旧統一教会問題への取り組み方について批判的な目を向けています。

※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/メルマガ原題:「安倍暗殺」から2年で自民党と統一教会の抱合の闇はどこまで解明されたのか?/有田芳生=前参議院議員の寄稿

プロフィール高野孟たかのはじめ
1944年東京生まれ。1968年早稲田大学文学部西洋哲学科卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。同時に内外政経ニュースレター『インサイダー』の創刊に参加。80年に(株)インサイダーを設立し、代表取締役兼編集長に就任。2002年に早稲田大学客員教授に就任。08年に《THE JOURNAL》に改名し、論説主幹に就任。現在は千葉県鴨川市に在住しながら、半農半ジャーナリストとしてとして活動中。

「安倍暗殺」から2年で自民党と統一教会の抱合の闇はどこまで解明されたのか?/有田芳生=前参議院議員の寄稿

安倍晋三元首相の暗殺をきっかけに、統一教会の自民党組織への浸透による両者の抱合・癒着関係に改めてスポットライトが当たり、以後、政府は同教会に対する質問権を行使した挙句、昨年10月には宗教法人としての「解散命令」を請求し、東京地裁での審理が始まっている。これを通じて統一教会をめぐる闇は一体どこまで解明されたのか。この問題を最も長く深く追究してきた1人である有田芳生=前衆議院議員に寄稿をお願いした。(高野孟)


有田芳生氏が抱いた「安倍暗殺」からの2年間の報道への違和感

2022年7月8日に安倍晋三元総理が暗殺されてからもうすぐ2年になる。銃撃犯の動機が統一教会がらみ(母親の入信、多額の献金で家庭崩壊)だったことで、一挙に教団が問題になった。安倍総理だけでなく、多くの自民党議員が統一教会と関係していたことが新聞、テレビ、週刊誌などで批判された。東京地裁では文科省から出された教団への解散命令について一度だけ審問が行われたが、非公開なので実態は報道されない。それぞれは重要な論点であり、問題だ。このたび『誰も書かなかった統一教会』(集英社新書)を私が書いたのは、この2年間の報道が、40年ほど見つめてきた教団の姿のごく一部に過ぎないことに違和感を覚えていたからだ。

たとえば教団が国会議員秘書に信者を送り込んできた目的は何か。「勝共」=「反共」の旗を掲げながら北朝鮮に接近し、文鮮明教祖が金日成主席と会談した意図は何か。1987年5月3日の憲法記念日に朝日新聞阪神支局が襲撃され、記者が死傷した「赤報隊事件」に教団信者たちがなぜ捜査対象になったのかなどなどである。

次ページ:なぜ旧統一教会は信者を国会議員秘書として送り込んだのか

本質に触れなかった報道

私は2023年4月に安倍晋三首相の後継議席を争った山口4区補選に出た。そのとき20代の若者たちと話をしていて驚いた。創価学会、幸福の科学、オウム真理教の名前は知っていたが、統一教会は安倍晋三銃撃事件が起きて初めて知ったというのだ。事件をきっかけにメディアの報道はおびただしいものがあった。私の率直な思いでいえば、表面的なものが多く、本質に進むことがなかった。議員が教団系の「世界日報」に出た、集会にメッセージを送ったなどなど、すべて悪いかのように報道された。統一教会を知らずに「うっかり」関わってしまった者と反共思想に共鳴した「確信議員」とは区別しなければならない。

桜田淳子さんたちが出席した1992年の合同結婚式の報道から「空白の30年」があり、その時間に統一教会と関連組織は自民党議員たちに浸透していった。そこには明確な意図があった。国会議員との関係が組織的に強化されたのは、40年ほど前の1980年代からのことだ。1986年。中曽根康弘総理のとき、衆参ダブル選挙が行われ、自民党は「空前の300議席」(毎日新聞)と報じられるほど圧勝する。

この選挙のとき、統一教会=国際勝共連合は、自民党議員に組織的に接触、教団を支持する候補者に「推薦確認書」=「政策協定」へのサインを求め、熱心な選挙運動を展開した。当選議員は「勝共推進議員」としてのちに「思想新聞」(1990年3月25日号)に名前が公表された。このとき衆参国会議員は合わせて150人。安倍晋太郎、細田博之、麻生太郎などの名前が列挙されている。統一教会の理念に賛同して反共の立場に立つならば、選挙支援を行うという合意だ。

組織的に送り込まれた秘書

熱心に行動してくれる選挙運動員ほどありがたい人たちはいない。統一教会の信者たちは、指示に基づいて支援する国会議員候補者のための選挙運動を行ってきた。衆参ダブル選挙が終わった1986年8月から統一教会は国会議員秘書養成講座をはじめた。場所は京都の嵐山にあった「嵯峨亭」だ。

全国から91人の女性信者が選抜されて集められた。信仰講座、秘書実務、関西地方での「勝共カンパ」実践などを経験して、最後は神戸のホテルでフランス料理を食べながらマナー講習を受けて、養成講座は終わった。信者は国会議員の公設秘書、私設秘書に派遣された。これが1期生だ。

安倍晋三銃撃事件が起きた翌月。私は安倍元総理と親しい大臣経験者と話をした。信者秘書について聞くと「いっぱいいますよ」と答えて、こう付け加えた。「優秀なんですよ」。私はさらに信仰歴が50年を超える元幹部にも同じ質問をしたが、答えは「いますよ」。自民党が行った教団との関係アンケートは、信者秘書が担当したケースもあるだろう。正確なものになるはずがない。

なぜ信者を国会議員秘書にするのか。それは議員に影響力を与えるためだ。文鮮明教祖は、1984年にアメリカで脱税のため懲役刑(1年半)を受けたため、日本の入管法の規定(第5条4項=日本国又は日本国以外の国の法令に違反して、一年以上の懲役若しくは禁錮又はこれらに相当する刑に処せられたことのある者)で入国できなかった。金丸信自民党副総裁などに働きかけて超法規的に日本を訪れたのは、1992年3月26日から4月1日までだった。警察に強い国会議員に使える「対策費」は月にたいてい1億円。さらに教祖が2012年に亡くなってからは家庭教育支援法など、教団の理念を政治に反映させることも目的となった。

次ページ:自分たちを大きく見せようとする体質がある旧統一教会

ただし過大評価は禁物

ただし注意しなければならないのは、統一教会は自分たちを大きく見せようとする体質がある。教団は関連団体である天宙平和連合(UPF)の集会に安倍晋三元総理のビデオメッセージを出させたことなどを利用して、内部にも外部にも誇大な組織像を吹聴してきた。安倍晋三にすれば、権力の源泉である選挙に勝つためには、統一教会をも利用した。トランプ政権が誕生するとき、安倍晋三総理が最初に面会できたのは統一教会の力だという幹部の言説も事実ではなく外務省の成果だ。

文鮮明教祖が「世界7か国を支配する」「王の王」になると誇ったことは、日本の組織でも内部で利用されてきた。霊感商法などを行う信者たちの行動を励ましてきたのだ。統一教会を過大にも過小にも評価することなく、等身大の実像を見つめなくてはならない。統一教会の本質は「文鮮明機関」(アメリカのフレイザー委員会報告書)であり「反共謀略組織」だ。あくまでも事実に基づいて、推測を排除しないと、教団を「日本政治を支配する」モンスターのように描く陰謀論にはまってしまう。しかし反面、岸田政権のやり方は、長年、自民党を蝕んできた統一教会の浸透工作の実情とその先導役を演じてきた岸信介・安倍晋太郎・安倍晋三3代の犯罪性を解明することなく、単に「やってるふり」だけで早々に蓋をしてしまおうとするものと言える。

統一教会は解散させなければならないが、それが霊感商法などで日本社会に多大な損害を与えたばかりでなく、自民党政治に深刻な腐食をもたらしたその被害の全体を余すところなく解明した上で、正しく裁かなければならない。

★『誰も書かなかった統一教会』(集英社サイト)

(メルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』2024年5月27日号より一部抜粋・文中敬称略。ご興味をお持ちの方はご登録の上お楽しみください。初月無料です)

この記事の著者・高野孟さんのメルマガ

 

image by: 岸田文雄 - Home | Facebook

高野孟この著者の記事一覧


早稲田大学文学部卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。現在は半農半ジャーナリストとしてとして活動中。メルマガを読めば日本の置かれている立場が一目瞭然、今なすべきことが見えてくる。


有料メルマガ好評配信中
 


貼り付け終わり、