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5月26日に発生した季節外れの台風1号は、きょう31日午前3時に温帯低気圧に変わりました。雨量が多くなる地域では引き続き注意が必要なものの、まずは一安心といったところ。ただ、逆にテレビ局は“期待はずれ”の台風1号にガッカリしているかもしれません。今回のメルマガ『武田邦彦メールマガジン「テレビが伝えない真実」』では中部大学元教授の武田邦彦さんが、「人々の恐怖で金を稼ぐ」という台風報道と環境問題の共通点を批判的に解説しています。
なぜ局内がお祭り騒ぎに?「国民の安全」より「台風襲来」を願ったメディアたち
日本人が誠実さや真面目さを失い、国民を不幸に陥れているのは、すでに反論もないだろう。でも、その中でも最も激しいのが「脅してお金」である。人間は脅されると怖くなり、ひどいことにならないようにとお金を出す。このことは古くからわかっていることだが、「環境問題」が起きてから、国民が面白いように脅されて、自分達の自由になることを知ったのは、マスコミだった。
1972年、それまで高度成長を謳歌していた日本社会は、突如としてマスコミが報道を始めた「石油は後、30年」にビックリした。何しろ、自動車、照明、煮炊きからトイレットペーパーに至るまで、石油で動き、石油で明るくなり、石油で食事を作り、石油で生活をしていたのだから、それが30年でなくなるというと、それは生存に関わる大事件なのである。
そこで庶民はまずトイレットペーパーを買い漁った。トイレットペーパーと石油の間には、よく考えれば直接的な関係があるが、毎日普通の生活をしている人が、石油がなくなると聞いて直ちにトイレットペーパーを買い漁ったということは、石油の文化が非常に強く日本に浸透していた証拠の一つでもある。いずれにしても、当時、主な買い物の場所であったスーパーマーケットからバカ売れして消え、すでに水洗トイレになっていた日本の家庭は大変なことになったのである。
これに驚き、そして喜んだのが、テレビ、新聞だった。
「超大型で猛烈な台風」でボロ儲けするテレビ局の実態
本当に喜んだのか?と疑問を持つ向きもあるだろうが、著者は地上波テレビのニュース番組で、強い印象を受けた経験がある。それが「台風報道」である。
台風が日本列島に接近すると、テレビ局の様子が変わる。局内が異常にハイテンションになり、みんながイキイキとして嬉しそうなのだ。
そのうち、テレビ局の中に友人ができ、気軽に話をしてくれるようになると、「台風はお祭りなんです。何しろ視聴率が3%も上がりますから」とある地上波テレビ局の部長が著者に言った。
テレビ局はスポンサーからの収入で運営される。それは例えば9%の視聴率なら「普通の高視聴率の番組」であるが、それが12%なら「トップを争う、話題になる番組」になる。それは膨大な収入をもたらすので、「お祭り」になるのだった。
だから、台風が来てくれることはその年のテレビ局の収益が安定することを意味している。できるだけ大きく激しい台風が良いし、進路がわかりにくい台風の方が良い。
さらには、被害が大きいと台風が去った後も、被害の様子を繰り返し報道でき、さらに視聴率を稼ぐことができ、テレビ局員の給料が上がることを意味する。
何しろ番組を考えたり、工夫したりすることもいらないし、単に台風が来てくれれば儲かるのだから堪えられない。これがテレビ局や新聞記者を堕落させた一つの原因になった。
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なぜ次に日本のメディアが飛びついたのは「石油危機」なのか?
「石油がなくなる」というのは超巨大な台風が日本中を縦断するようなものだから、それにマスコミが飛びついたのは当然である。
しかも、「石油危機」が国際的に話題になったのは、実際に日本で報道される10年ほど前だった。
国際石油連盟、これは世界で「セブンシスターズ」と呼ばれる巨大石油資本の7社で作られていたが、そこからのお金が大学、各国の報道機関、それに国連などに流れ始めた。
理由は簡単で、当時、平均的な原油の価格は、1バレル(約5リットル)あたり2ドルだったのを、10倍の20ドルにしたいというのが石油連盟の作戦だった。そのために、石油は後、数十年でなくなるというのが最も衝撃的だろうと考えられたのである。
石油の埋蔵量というのは明瞭ではない。何しろ――(メルマガ『武田邦彦メールマガジン「テレビが伝えない真実」』2024年5月22日号より一部抜粋。
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