カラパイア:冷凍した人間の脳組織を解凍した後も正常に機能する技術開発に成功 2024年05月19日より転載します。
貼り付け開始、
https://karapaia.com/archives/52331859.html
脳組織は従来、凍結と解凍の過程で機能を失いがちだったが、新たな技術がその課題を克服した。なんと人間の脳組織を冷凍保存する画期的な技術が開発されたそうだ。
その技術は新たな化学混合物を使用するもので、その混合物の中で冷凍した脳組織は、解凍時もほぼ損傷なく元戻りにでき、さらに再び機能・成長させることもできるという。
このたび明かされた脳の冷凍保存技術は、医学的な脳研究の躍進に貢献するだけでなく、いずれは脳丸ごとの保存やコールドスリープなんて夢の技術にもつながりそうだ。
これまで、脳細胞は冷凍に耐えられず、解凍しても元のようには機能してくれなかった。もしも脳も冷凍保存が可能となり、解凍しても同様に機能するのなら、脳の研究がグッとやりやすくなるはずだ。
そこで中国、復旦大学の研究チームは、ヒト胚性幹細胞(ES細胞)から4mmほどの大きさの脳オルガノイドを作り出し、これを実験台にどうにか脳の冷凍保存をする方法がないか探ってみた。
「オルガノイド」とは、人間の幹細胞から作られた本物のように機能するミニチュア臓器のこと。つまりミニ脳のことだ。
脳オルガノイドなら脳そのままの構造や結合をもち、脳そのままに機能する。ゆえにバイオコンピューターとしての利用も研究されている。
この研究ではまず、この脳オルガノイドを冷凍状態から守ってくれると予想されるさまざまな化学物質(たとえば糖や不凍液)に入れ、それから液体窒素で冷凍した。
24時間以上保存してから解凍し、その後2週間における細胞の死や成長を観察した。
MEDYは「メチルセルロース」「エチレングリコール」「DMSO」「Y27632」を混ぜたもので、その後の実験では素晴らしい保護能力が確認されている。
解凍された脳オルガノイドを免疫蛍光染色と呼ばれるイメージング技術で示したもの / image credit:Weiwei Xue et al.
するとたとえ18ヶ月冷凍保存されていたとしても、解凍された脳オルガノイドは外観・成長・機能ともに、冷凍されなかった脳オルガノイドとほとんど変わらなかったのだ。
この結果は、脳の領域が違う脳オルガノイドであっても同じだった。
最後の実験では、てんかんを持つ生後9ヵ月の女児から採取された小さな脳組織(3mm)をMEDYに浸し、例のごとく凍結と解凍を行った。
すると、本物の脳組織でも冷凍前の構造が保たれており、少なくとも2週間は元気に機能することができた。
こうした脳組織の冷凍保存技術は、脳の研究を大きく進めてくれると考えられる。技術がさらに洗練されれば、やがて脳を丸ごと凍結させることも可能になると期待される。
そしてその先には? もしかしたら全身を冷凍し、遠く離れた星々への旅行に備えるなど、SFでお馴染みのコールドスリープ技術が待っているかもしれない。
この研究は『Cell Reports Methods』(2024年5月13日付)に掲載された。
References:Frozen human brain tissue can now be revived without damage | New Scientist / Frozen human brain tissue works perfectly when thawed 18 months later / written by hiroching / edited by / parumo
追記(2024/05/20)誤字を訂正して再送します。
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ラットに移植した人間のミニ脳が見事に結合。視覚刺激に反応
貼り付け終わり、
https://karapaia.com/archives/52331859.html
脳組織は従来、凍結と解凍の過程で機能を失いがちだったが、新たな技術がその課題を克服した。なんと人間の脳組織を冷凍保存する画期的な技術が開発されたそうだ。
その技術は新たな化学混合物を使用するもので、その混合物の中で冷凍した脳組織は、解凍時もほぼ損傷なく元戻りにでき、さらに再び機能・成長させることもできるという。
このたび明かされた脳の冷凍保存技術は、医学的な脳研究の躍進に貢献するだけでなく、いずれは脳丸ごとの保存やコールドスリープなんて夢の技術にもつながりそうだ。
脳を冷凍保存する方法
食材なら冷凍することで長期保存が可能となり、解凍しても味が変わらないままおいしく食べられるものもある。だが、これが複雑な脳の組織となるとそうはいかない。これまで、脳細胞は冷凍に耐えられず、解凍しても元のようには機能してくれなかった。もしも脳も冷凍保存が可能となり、解凍しても同様に機能するのなら、脳の研究がグッとやりやすくなるはずだ。
そこで中国、復旦大学の研究チームは、ヒト胚性幹細胞(ES細胞)から4mmほどの大きさの脳オルガノイドを作り出し、これを実験台にどうにか脳の冷凍保存をする方法がないか探ってみた。
「オルガノイド」とは、人間の幹細胞から作られた本物のように機能するミニチュア臓器のこと。つまりミニ脳のことだ。
脳オルガノイドなら脳そのままの構造や結合をもち、脳そのままに機能する。ゆえにバイオコンピューターとしての利用も研究されている。
この研究ではまず、この脳オルガノイドを冷凍状態から守ってくれると予想されるさまざまな化学物質(たとえば糖や不凍液)に入れ、それから液体窒素で冷凍した。
24時間以上保存してから解凍し、その後2週間における細胞の死や成長を観察した。
脳細胞の冷凍保存を可能にした化学混合物「MEDY」
こうして明らかになった、もっとも細胞が死ににくく、解凍後にも成長が保たれる化学物質のカクテル「MEDY」だ。MEDYは「メチルセルロース」「エチレングリコール」「DMSO」「Y27632」を混ぜたもので、その後の実験では素晴らしい保護能力が確認されている。
18ヶ月冷凍保存しても脳細胞は正常に機能
研究チームは、発生から28~100日が経過した脳オルガノイドをMEDYに漬けて凍結した。そして解凍後に最長150日間、脳オルガイドの経過を観察してみた。するとたとえ18ヶ月冷凍保存されていたとしても、解凍された脳オルガノイドは外観・成長・機能ともに、冷凍されなかった脳オルガノイドとほとんど変わらなかったのだ。
この結果は、脳の領域が違う脳オルガノイドであっても同じだった。
最後の実験では、てんかんを持つ生後9ヵ月の女児から採取された小さな脳組織(3mm)をMEDYに浸し、例のごとく凍結と解凍を行った。
すると、本物の脳組織でも冷凍前の構造が保たれており、少なくとも2週間は元気に機能することができた。
コールドスリープも可能になる未来が?
こうした脳組織の冷凍保存技術は、脳の研究を大きく進めてくれると考えられる。技術がさらに洗練されれば、やがて脳を丸ごと凍結させることも可能になると期待される。そしてその先には? もしかしたら全身を冷凍し、遠く離れた星々への旅行に備えるなど、SFでお馴染みのコールドスリープ技術が待っているかもしれない。
この研究は『Cell Reports Methods』(2024年5月13日付)に掲載された。
References:Frozen human brain tissue can now be revived without damage | New Scientist / Frozen human brain tissue works perfectly when thawed 18 months later / written by hiroching / edited by / parumo
追記(2024/05/20)誤字を訂正して再送します。
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史上初、実験室で作られた人間の「ミニ脳」が視覚刺激に反応する瞬間を目撃
未来のコンピューターは人間の脳細胞で動くようになるかもしれない
人工培養した人間のミニ脳をラットに移植し結合させることに成功
人体冷凍保存へ向けて。臓器を安全に保存する為の抗凍結剤が魚をヒントに開発されている
ラットに移植した人間のミニ脳が見事に結合。視覚刺激に反応
貼り付け終わり、