■金星から水を奪った犯人が明らかに、 | タマちゃんの暇つぶし

タマちゃんの暇つぶし

直ぐに消されるので、メインはこちらです→ http://1tamachan.blog31.fc2.com/ 

カラパイア:金星から水を奪った犯人が明らかに、水分喪失のプロセスを特定 2024年05月11日より転載します。
 
貼り付け開始、

https://karapaia.com/archives/52331661.html
 
金星から水分を奪った犯人を特定


 かつて豊富な水が存在した金星は、なぜ今のような干からびて乾燥した惑星になってしまったのか? そのプロセスがに解明されたかもしれない。

 その鍵を握るのは「HCO+」という、これまで見落とされてきた大気中の分子イオンだ。新たな研究によると、このイオンの関与により、金星の水はこれまで想定されていたより2倍も速く宇宙へ流出してしまったという。

 水の流出速度が速いということは、それだけ金星が煮詰まるのが早いということだ。それは同時に、乾燥する前の金星には、これまで想像されていたよりずっと長く海が、そして居住可能な環境があった可能性をも示唆している。
 

金星から全ての水が消失した謎

 これまでの研究によって、誕生してまもない金星には、地球と同じくらいの水があっただろうことが明らかになっている。

 その出所は、水蒸気を噴出する火山や氷の彗星の衝突だ。そうした水源のおかげで、かつての金星には、地表を約3kmもの深さでおおえるほど豊富な水があったと推測されている。

 ところが、金星は地球より太陽に近くはるかに日当たりがいい。たっぷりと浴びせられる太陽光が、大気にただよう水を水素原子と酸素原子に分解してしまった。

 こうして解放された軽い水素は宇宙へ逃げてしまい、金星からは水の材料の片方がなくなった。

 この仮説は、金星から水がほとんどなくなった理由をうまく説明する。

 だが、1つ疑問が残る。

 それは、例えこのプロセスで水素原子が散逸してしまったとしても、深さ100mくらいの水は残るはずなのだ。なのに現在の金星にそんな水は見当たらない。

 コロラド大学ボルダー校ののマイケル・チャフィン氏は、「例えるなら、水筒の水を捨てたとしても、数滴は残っているようなものです」と説明する。

 残された水は、先述したプロセスで金星から逃げ出すことはできない。そのため今日見られる乾燥した金星の状況を説明するには、何らかの原因でもっと速やかに水が消えたとしか考えられないのだ。
 
iStock-472523336_e
photo by iStock
 

HCO+という分子イオンが関与していた

 そこで今回の研究でチャフィン氏らは、「HCO+解離性再結合」というまた別のプロセスによって、これまで想定されていたよりも金星が速く乾燥したという仮説を提唱している。

 HCO+とは、水素、炭素、酸素の1原子ずつから構成される分子イオンのことで、星間雲の中で最も豊富な分子イオンの一つだ。

 このプロセスでは、プラスの電荷を帯びた水素・炭素・酸素原子が、マイナスの電荷を帯びた電子と結びつき、一酸化炭素と水素を作り出す。

 こうしてできた水素は宇宙へと逃げていく。逃げていく水素は水が由来なので、これによって「金星は効率的に乾燥」する。

 金星の大気上部を再現したコンピュータモデルでは、このプロセスによって理論から予測される金星の水の量と、現在観測されている水の量のギャップを埋めることができたとのこと。
 
1_e0
金星の水は「HCO+解離性再結合」というプロセスによって、想像より速く失われたのかもしれない/Image credit: Aurore Simonnet/LASP/CU Boulder
 

金星にはHCO+が豊富にある?

 もしもこの仮説が正しいのなら、1つ金星の意外な事実が浮かび上がってくる。それはその大気で一番豊富なイオンはHCO+だろうということだ。

 だが、実際に金星でHCO+が検出されたことはない。だがその理由の1つは、これまでそれを検出しようと試みたミッションが皆無だったからかもしれない。

 その一方で、HCO+を作り出す個々の素材ならば測定されている。

 残念ながら、今後予定されている3つの金星探査ミッションのいずれも、HCO+の検出を念頭においたものではない。

 NASAの「VERITAS」とESAの「Envision」は、金星の大気上部(HCO+解離性再結合が起きる場所)からの水素散逸を調査する科学機器を備えていないし、NASAの「DAVINCI」もまた高度70km以下の大気を調べることしかできない。

 そのためHCO+の存在が確認され、金星から水が失われた経緯が完全に解明されるまでには、少々時間がかかることになるかもしれない。

 この研究は『Nature』(2024年5月6日付)に掲載された。

References:Venus has almost no water. A new study may reveal why | CU Boulder Today | University of Colorado Boulder / Molecule responsible for robbing Venus of its water may finally have been identified | Live Science / written by hiroching / edited by / parumo




あわせて読みたい

金星から電波シグナルを検出、その音を可聴化した金星の歌声(NASA)※要音声

金星の生命体の故郷は地球?地球をかすめ飛んだ隕石が、金星に生命を運んだという仮説(米研究)

金星から緑色の閃光が!珍しい「グリーンフラッシュ」が観測される

金星で生命の痕跡を発見か? 大気から生命体によって生み出されるガスを検出(国際研究)

金星の雲の中に生命体が潜んでいる可能性。独自の環境を作り上げている
 
貼り付け終わり、