■女性の方が自動車事故の重症率が高い不条理な理由 | タマちゃんの暇つぶし

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MAG2 NEWS:男性ドライバー基準の「安全対策」がアダに。女性の方が自動車事故の重症率が高い不条理な理由2024.05.02より転載します。
 
貼り付け開始、

https://www.mag2.com/p/news/598046
 
Front,End,Collision,During,A,Crash,Test.
 

今年も春の大型連休を迎え、賑わいを見せる観光地の様子が連日報道されています。マイカーやレンタカーでの移動を予定している方も多いかと思われますが、自動車事故の重症率が男性より女性の方が47%も高いという研究結果をご存知でしょうか。今回のメルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』では健康社会学者の河合さんが、13年前にアメリカとスペインの大学の研究チームが発表したデータを紹介。重症化率に男女差がある理由を解説するとともに、求められる安全対策について考察しています。

※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:車と男社会と事故率と

プロフィール河合薫かわいかおる
健康社会学者(Ph.D.,保健学)、気象予報士。東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。ANA国際線CAを経たのち、気象予報士として「ニュースステーション」などに出演。2007年に博士号(Ph.D)取得後は、産業ストレスを専門に調査研究を進めている。主な著書に、同メルマガの連載を元にした『他人をバカにしたがる男たち』(日経プレミアムシリーズ)など多数。

「男社会」の弊害。男性よりも女性の方が高い自動車事故の重症率

連休中の谷間ですので、車に関する話題をとりあげます。みなさんは車と「男社会」の結びつきをご存知ですか?

世界にその事実を知らしめたのが、13年前に「American Journal of Public Health」に掲載された一本の論文です。タイトルは“Vulnerability of Female Drivers Involved in Motor Vehicle Crashes: An Analysis of US Population at Risk”。米バージニア大学とスペイン・ナバラ大学の3人の研究者が、「技術革新により車の事故は過去数十年で飛躍的に減少したが、その恩恵は男女のどちらのドライバーにももたらされているのだろうか?」とのリサーチクエスチョンをもとに、過去10年に米国で発生した自動車事故のデータを分析しました。

そこでわかったのが、男性を基準にした安全対策による“被害”です。

古くから自動車の安全システムは、一般的に男性ドライバーの特性に焦点を当てて設計され、評価されてきました。運転席のダミーは男性を模擬したもの、助手席のダミーは小柄な女性を模擬し、衝突実験を実施するといった具合です。

それまでも「男女間の運転方法の違い」に着目した研究はありましたが、さまざま要因をコントロールした上で、性別の負傷率に着目したのは件の研究者が初めてです。

分析には運転距離やドライバー歴、事故の頻度などを考慮した上で、男性と女性の怪我の程度を分析。その結果、シートベルトを装着していたにもかかわらず重傷を負った確率は女性が男性より47%も高く、1.5倍にものぼっていたのです。

研究者らはこれらの結果を受け「安全装備の設計基準」に問題があると指摘。例えば、ヘッドレストの位置は女性の首の細さや強さが男性と異なる点に配慮していないし、女性は男性より背が低いため、下肢にけがをするリスクも高いと推察できます。このような男女の身体的な差異に対応するには、負傷リスクの高い女性の安全性に考慮した設計に重点的に取り組む必要があると、警鐘をならしたのです。

しかし、日本ではいまだに男性ドライバーを基準にした安全対策がとられています。国土交通省の衝突事故の試験・評価では、2018年度から、助手席は男性ダミーから小柄な女性を模擬したダミーに変更していますが、ドライバーは男性のままです。男性ダミーの体格は、175cm、体重78kg。20代の日本女性の平均身長157.5cm、30代は158.2cm。20代女性の平均体重は53kg、30代は54.3kgですから、かなり違います。

毎日新聞が2013~22年のデータを分析した結果でも、事故に遭った時にけがをした割合は女性が21.05%で、男性(14.51%)の1.45倍と、海外と同様の傾向が認められています。

また、車の損壊程度別に負傷率を比べたところ、女性は「大破」で男性の1.25倍、「損傷なし」でも1.62倍となり、小さな事故ほど男女差が大きくなっていました。

少々心配な「わ」ナンバー車が爆増している現状

自動車メーカーによっては、女性のダミーを使用しているところも増えていますが、欧米では単に女性に変えるだけでは、負傷率を下げるのは難しいと指摘する専門家も少なくありません。

つまり、車のダメージと体の負傷の部位、負傷率の違いなども含めた研究を同時に行い、性差もふくめた複合的な安全対策が求められているのです。

昔に比べると車の安全対策は飛躍的に進んでいますし「初心者でも運転できる道路」も増えました。しかし一方で、カーシェアリングの普及などで「わ」ナンバーが爆増しているのが、少々心配です。

カーシェアリングの利用者は年々増加し、22年は車両台数は51,745台(前年比19.1%増)会員数は2,636,121人(同17.4%増)と、右肩あがりです。

「運転する機会が減る→咄嗟の判断が難しくなる→事故リスクが高まる」のは避けられませんし、何よりも車の単独事故はたったの3%です。9割が事故は車両相互で、内訳は追突が約41%、出会い頭が約28%と続いています。

私もバリバリの現役ドライバーですが、やはり若い頃に比べると運転途中で「考える」瞬間が増えてしまいました。若いころは考える前に体が動いていたのに、「あれ、こっちだっけ?」とか、頭と手、頭と足、の連携に数コンマ秒のズレが出るのです。

数分運転してるうちに「迷い」は消えるのですが、出だしがやばいです。私も気をつけますので、みなさんもくれぐれもお気をつけて。

連休をお楽しみください。

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image by : Shutterstock.com

米国育ち、ANA国際線CA、「ニュースステーション」初代気象予報士、その後一念発起し、東大大学院に進学し博士号を取得(健康社会学者 Ph.D)という異色のキャリアを重ねたから書ける“とっておきの情報”をアナタだけにお教えします。河合 薫この著者の記事一覧

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