■中央銀行デジタル通貨が駆逐するドル覇権。 | タマちゃんの暇つぶし

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マネーボイス:中央銀行デジタル通貨が駆逐するドル覇権。各国の導入状況と取り残されるアメリカの苦肉の策=高島康司氏2024年4月27日より転載します。
 
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https://www.mag2.com/p/money/1442407

中央銀行デジタル通貨(CBDC)の導入による米国覇権の弱体化に対応するため、アメリカがビットコインを政府公認の資産として取り込む可能性が出てきた。CBDCがもたらす影響と、加速するビットコインの資産化について解説したい。(『 未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ 』高島康司)


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中央銀行デジタル通貨(CBDC)本格導入へ準備着々

いま中央銀行デジタル通貨(CBDC)の本格的な導入が迫っている。これがもたらす広範な影響と、それによるビットコインの資産化の加速について解説したい。

4月3日、スイスに本部を置く「国際決済銀行(BIS)」は、日本やアメリカ、ヨーロッパなど7つの中央銀行と民間の金融機関が、デジタル通貨を使った実証実験を始めると発表した。国境を越えた決済を簡単にしたり、マネーロンダリング対策に役立てたりする仕組みづくりを目指すとしている。

実証実験には、「BIS」が主導する形で、日銀や「ニューヨーク連邦準備銀行」、イギリスの「イングランド銀行」、それにスイスや韓国、メキシコなど合わせて7つの中央銀行が参加する。

実験では、中央銀行が裏付けしたデジタル通貨を使い、一般の銀行と中央銀行の間でのやり取りや、銀行間の国際的な決済がスムーズにできるかを調査するとしている。

いまのところ、参加各国の「CBDC」導入の時期は決まっていないが、この実証実験で「CBDC」の有効性が認められた場合、各国で導入時期の本格的な検討に入る可能性が高い。早ければ2025年にも、実験に参加した一部の国で導入が進められるのではないかとする観測もある。

各国ですでに始まっている「CBDC」の導入

周知のように「CBDC」の分野でもっとも先行しているのは中国である。

「デジタル人民元」の開発はすでに2014年から始められ、2020年には試用試験を各都市に拡大し、「CBDC」を普及をさせた。そして2024年には、「BIS」が開始した「mBRIDGE」プロジェクトに参加し、「デジタル人民元」による国際決済の実証実験をさかんに行っている。

また、2020年以来、各国でなんらかの導入実験が進められている。その状況を列挙してみると、次のようになる。

<2020年>

・バハマ、「サンド ダラーCBDCプロジェクト」を開始。
・カンボジアの「CBDC」、人口のほぼ半数に拡大。

<2021年>

・セントビンセント、グレナディーン、セントルシア、セントクリストファー・ネイビス、アンティーブ、バルバドス、ドミニカ、モントセラト、グレナダの9 か国が「CBDC」の実証実験。
・ナイジェリアが「電子ナイラ」と呼ばれる「CBDC」の実証実験に取り組む。

<2022年>

・ジャマイカ中央銀行は最初の「CBDC」のパイロットプロジェクトを完了。即時決済システムは2022年2月に開始。

<2023年>

・中国のデジタル人民元ウォレットに2億6000万人の個人ユーザーを記録。
・ジョージア中央銀行は「CBDC」を開始。
・ガーナ中央銀行、「CBDC」パイロットに中央銀行サービスプロバイダー、「G+D」を選択。
・インド、「CBDC」導入計画を発表。
・オーストラリア、マレーシア、シンガポール、南アフリカの中央銀行が国際決済用の「CBDC」を「BISイノベーションハブ」を使ってテストする。
・モーリシャス中央銀行、「CBDC」のパイロットを計画。
・ロシア、12の銀行と「CBDC」である「デジタルルーブル」のパイロットを開始。
・サウジアラビアとUAE、二国間でデジタル通貨実験を開始。
・南アフリカ中央銀行、「CBDC」のテスト開始。
・韓国中央銀行が「CBDC」の実証実験の第一段階を開始。
・スウェーデン中央銀行、「CBDC」の「e-クローナ」の実証実験を開始。
・スイス、「デジタルユーロ」と「デジタルスイスフラン」の実証試験が成功。
・チュニジア中央銀行、「デジタルディナール」の実証実験開始。
・ウクライナ商業銀行、デジタル通貨の実証実験開始。

<2024年>

・ブラジル証券取引所、「デジタルリアル」の実証実験開始。ブラジルの経済大臣は独自の「CBDC」を持つだろうと発言。
・カナダ中央銀行、独自の「CBDC」の導入を検討。
・香港政府、「CBDC」の適用検討。
・イラン、近々「CBDC」を試験導入へ。
・メキシコ政府、「CBDC」を発表。
・ニュージーランド、「CBDC」の調査を開始。
・ノルウェー中央銀行、今後2年間で「CBDC」の技術ソリューションをテストすると発表。
・パラオ共和国、「CBDC」開発へ。
・タイ中央銀行、「CBDC」をテスト。

<2025年以降に予定される動き>

・オーストラリア準備銀行と業界パートナーが商業取引に使える「CBDC」研究プロジェクトを完了。
・チリ中央銀行、「CBDC」発行を検討するチームを設立。
・欧州中央銀行、「デジタルユーロ」の導入に向かう。
・ホンジュラスとグアテマラ、「CBDC」を研究開始。
・イスラエル中央銀行、「デジタルシェケル」の可能性を研究。
・モロッコ、デジタル通貨の開始の可能性に備えるための法的枠組みを準備。
・パキスタン、金融包摂のための「CBDC」を研究。
・パレスチナ中央銀行、「CBDC」の立ち上げを検討。
・ペルー中央銀行が「CBDC」開発への世界的な動きに参加。
・フィリピン中央銀行、「CBDC」を検討。
・ルワンダ、「CBDC」 導入へ。
・シンガポール中央銀行、商業取引に使える「CBDC」の導入検討。
・トリニダード・トバゴ 中央銀行、「CBDC」のユースケースを検討。
・トルコ中央銀行、新しいプラットフォームで「CBDC」である「デジタルリラ」をテスト。
・ジンバブエ政府、「CBDC」への関心を示唆。

いまこのように、「CBDC」への動きは各国でさかんになっている。この状況だと、各国で「CDBC」が導入されるのも時間の問題のように思える。

すると、導入が先行している「デジタル人民元」を中心に、国際決済が「CBDC」で行われるようになる十分な可能性がある。

Next: 揺らぐ米ドル覇権…「デジタルドル」への反対と導入の困難性

「デジタルドル」への反対と導入の困難性

周知のように「CBDC」は、デジタルウォレット間の受け取りと送金で決済が行われる。そのため、基本的にドルベースで、決済に数日も要する既存の送金システム、「SWIFT」が使われることはない。「CBDC」による決済の拡大にしたがって、当然「SWIFT」は放棄される方向に向かう。

そしてもし、このとき「デジタルドル」が導入されず、依然としてドルだけが時代遅れの決済システムを採用していたとすれば、決済通貨としてドルが使われなくなることは間違いない。すでに現時点で、決済通貨としてのドルの使用は減少する方向にあり、国際決済全体の57%程度にまで落ち込んでいる。

これは、ウクライナ戦争以後に加速した決済通貨多様化の動きを反映した流れである。エネルギーと食料生産大国であるロシアが、欧米の非常に厳しい経済制裁下にあるので、ルーブルや人民元、そしてルピーなどを使用して、ロシアとの取引がさかんになっているのだ。この傾向に合わせて、グローバルサウス全体でも決済通貨の多様化が急速に進んでいる。ドルが使われるケースは確実に減少しつつある。

いまでもこのような状態だから、もし「デジタルドル」の導入が遅れると、ドル離れのスピードは加速することは間違いない。

たしかにいま、アメリカ政府、及び「FRB」は「CBDC」としての「デジタルドル」の導入の可能性を検討していることは事実である。冒頭に書いた、「BIS」による7つの中央銀行による「CBDC」の実証実験に「FRB」も参加していることがその証左である。

しかし、共和党を中心にして「デジタルドル」に対する拒絶感は非常に強い。「ヘリテージ財団」と並ぶ共和党系のシンクタンク、「ケイトー研究所」は、昨年「CBDCのリスク~中央銀行デジタル通貨が採用されるべきではない理由」というレポートを出し、そこで次のように述べている。

簡単に言えば、CBDCは、銀行秘密法の制定と第三者法の確立以来、金融のプライバシーに対する唯一最大の攻撃となる可能性が高い。

CBDCがもたらしうる自由への脅威は、プライバシーへの脅威と密接に関係している。多くのデータを手にすることで、CBDCの導入で政府は、市民の金融活動をコントロールすることができる。

政府は長い間、ある人の金融資産を凍結することは、その人を社会から締め出す最も効果的な方法の一つであると認識してきた。しかし、CBDCは、市民と政府との間に直接的なラインを確立することによって、政府にとってそのプロセスをより簡単かつ迅速にすることができる。

さらに、次のようにもある。

CBDCのプログラム機能は、人々が特定の商品を購入することを禁止したり、購入金額を制限したりすることを意味する。例えば、政策立案者は、夜間のアルコール購入を制限したり、アルコール関連の犯罪を犯した人の購入を禁止することで、飲酒を抑制しようとすることができる。CBDCは、政府機関や民間セクターが目標とする政策機能をプログラムすることを可能にする。

周知のように、どの「CBDC」もブロッケチェーンのテクノロジーを基礎にしている。すると、「CBDC」のすべての決済はブロッケチェーンに記録され、個人ベースで経済活動がすべて政府によって管理される可能性に道を拓く。また、「CBDC」は使用期限を設定し、特定の分野の消費行動を抑制したり、また拡大することもできる。この結果、「CBDC」はターゲットを細かく定めた経済政策が実施できるようになる一方、個人のあらゆる経済活動が政府によって管理されることにもなる。

「ヘリテージ財団」や「ケイトー研究所」のような共和党系シンクタンクは、これが個人の自由に対する侵害になるとして、「CBDC」の導入を断固拒否している。この強い拒絶の姿勢は、これらのシンクタンクに特有のものではまったくない。トランプの公約集である「アジェンダ47」や、その実施マニュアルである「プロジェクト2025」にも「CBDC」の排除は明記されている。今年の11月に行われる米大統領選挙では、トランプが勝利する可能性は高い。個人の自由の保護を信条にするトランプ政権は、「CBDC」を完全に無効にすることだろう。その可能性は高い。

Next: 日本への影響は?「CBDC」のデジタルドルの排除は何を意味するのか…

「CBDC」のデジタルドルの排除は何を意味するか?

では、次期トランプ政権が「CBDC」としての「デジタルドル」の実施を無効にした場合、なにが起こるのだろうか?

その答えは、はっきりしているように思える。既存のドルを国際決済に使うとなると、決済に何日も要する旧態依然の送金システム、「SWIFT」を使わざる得ない。これは、デジタルウォレット間の資金移動で瞬時に決済が完了する「CBDC」のシステムには到底太刀打ちできない。これは不可能である。

すると、決済通貨としてのドルは使われなくなり、ドル離れが加速することだろう。そして、最終的には、基軸通貨としてのドルが完全に放棄される動きになる可能性もある。

トランプの「アジェンダ47」も「プロジェクト2025」もドルを基軸通貨にすることには、ほとんど関心がない。国際決済通貨としてドルを維持することはほとんど考慮していないように見える。むしろ、金本位制を導入してドルの価値を安定させ、米国内だけで循環できる経済体制を築こうとしているようにも見える。

こうした状況を見ると、世界的な「CBDC」の拡大、そしてトランプ政権の成立が重なると、ドル覇権の放棄から、大きな金融的な動乱期に入る可能性も高くなってくる。

しかし、アメリカの金融業界がこれを黙って見過ごしているわけではない。ウォールストリートは、それでもドルの覇権を維持できる方法を考えているようだ。なんとそれは、ビットコインの取り込みである。

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未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ 」(2024年4月26日号)より一部抜粋・再構成

※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
 


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