■音楽生成AI「Suno」の「とんでもない価値」とは? | タマちゃんの暇つぶし

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MAG2 NEWS:中島聡氏が驚嘆、音楽生成AI「Suno」の「とんでもない価値」とは?進む才能の民主化、必要なのは“歌い手”になる覚悟だ2024.04.03より転載します。
 
貼り付け開始、

https://www.mag2.com/p/news/596134
 
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文章からイラスト、写真、動画まで簡単に作り出してしまう生成系AI。それによって人間の生産性が上がる、コストが下がるといった話題は、すでにお馴染みのものとなりました。一方で生成系AIは、そのような「効率化」の議論とは別に、プロから“創作の特権”を奪い去り、“才能の民主化”とでも言うべき状況を引き起こす可能性があるようです。これに関して、プロンプトから音楽を作ることができる「Suno」を利用した際、生成系AIが人間に与えてくれる「これまでにない体験」に気づいたと語るのは、Windows95を設計した日本人として知られるエンジニアの中島聡さん。AIが人間の創作物から学習する限り、法的懸念や「絵や音楽が上手くなりたいならそれだけの努力をせよ」といった反発はなくなりませんが、それでもこの流れはもう止まらないかも?(メルマガ『週刊 Life is beautiful』より)

※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです。原題:生成系AIのポテンシャル

プロフィール中島聡なかじま・さとし
ブロガー/起業家/ソフトウェア・エンジニア、工学修士(早稲田大学)/MBA(ワシントン大学)。NTT通信研究所/マイクロソフト日本法人/マイクロソフト本社勤務後、ソフトウェアベンチャーUIEvolution Inc.を米国シアトルで起業。現在は neu.Pen LLCでiPhone/iPadアプリの開発。

音楽生成AIが私に提供してくれた「これまでにない体験」

文章だけでなく、画像や音楽までプロンプト(=テキスト)から作ってしまう生成系AIは日進月歩で進化しており、それをキャッチアップするだけでも一苦労です。そんな中で、「私たちのライフスタイルを大きく変える体験」を自らしたので、報告します。

先日、プロンプトから音楽を作ることができる、Sunoというサービスの存在を知り、早速、試してみたところ、とても良くできているので感心しました。

その時、ちょうど、私のハワイでのゴルフ友達のJohn(もしくはJohny)から、「ハチミツの次のロットが収穫できたから明日渡すよ」という連絡がありました。Johnは、家の庭にミツバチの巣箱を作り、そこからハチミツを収穫しては、”Jonny’s bees”というラベルを貼った瓶に詰めて、知り合いに配っているのです。

何かお礼をしなければ、と思った私は、試しにSunoに対して、Johnのハチミツに関する曲を作るように依頼してみました。

入力したプロンプトは、”A mellow Hawaiian song about sweet honey from Jonny’s bees“というごく単純なものです。

すると、”Sweet Honey“という素晴らしい曲を作ってくれました(リンク先で作品を聴くことができます)。

歌詞は以下の通りです。

In the land of aloha, where the palm trees sway There’s a man named Jonny, got a buzzin’ payday (payday) With his little honeybees, they work day and night Collecting that sweet nectar, it’s a pure delight (oh-yeah)

Oh, sweet honey, drippin’ from the comb (drippin’ from the comb) Golden sunshine, makes my heart feel at home (feel at home) Jonny’s bees, they got the magic touch (magic touch) Sweet honey, taste it, it’s a little too much

Sittin’ on the shoreline, watchin’ waves crashin’ by Jonny and his ukulele, under the tranquil sky (tranquil sky) Singin’ ‘bout the sweetness, that his bees provide Spreadin’ love and joy, with every bee’s stride (ooh-yeah)

ちゃんと韻は踏んでいるし、ハワイの風景も見事に描かれています。

そこで、曲をJohnに送ったところ、本人からは ”That’s awesome…I’m speechless.”という返事があり、奥さんのPeggyは、”It raises the bar for any gift!”と絶賛です(”it raises the bar”とは、「これを超えるものは難しい」という意味の、最高の褒め言葉です)。

この時に、気がついたのは、これこそが生成系AIが与えてくれる「これまでにない体験」だということです。

生成系AIについて語る評論家たちの多くは、これによって、クリエイティブな人たちの生産性が上がる、コストが下がる、職が奪われる、など点に注目していますが、それらは単に「効率化」という表面的な話でしかないのです。

創作が「才能ある人の特権」でなくなると何が起こる?

今回、私が体験したことは、これまで「音楽を作って誰かに贈ろう」などと想像もしたことがない私が、突如、生成系AIのおかげでそんなことができるようになったという意味で、「とんでもない価値」が生まれたと言えるのです。

今、放送中の大河ドラマ「光る君へ」では、平安時代の人々が、和歌で自分の心を相手に伝えていた様子が描かれていますが、良い和歌を歌うためには、才能も努力も必要だったのです。学のある主人公のまひろ(のちの紫式部)には可能ですが、弟の惟規(のぶのり)にはできない芸当です。

21世紀の私たちは、和歌どころか、手紙すら書かなくなってしまいましたが、生成系AIのおかげで、突如、音楽や映像を使って自分の気持ちを伝えることが可能になってしまったのです。

ちなみに、Sunoの存在を知ったJohnyの家族は、「先週食事をしたレストランにいた、おしゃべりなウェイトレスの歌」とか「先週、ゲストがお土産に持ってきた1袋百ドルもする高級なお米の歌」などを作って遊んでいるそうです。

映像作成に関しては、OpenAIが最近発表したSoraが注目されており、それが、ミュージックビデオの作成に使われたり、ハリウッド映画の作り方を根本的に変えるだろうことに注目が集まっています。

しかし、今回の体験は、生成系AIが世の中にもたらす一番の価値は、これまで音楽家や映画監督にしか作れなかった音楽や映像作品が、一般人にも簡単に作れるようになった点にこそあると、教えてくれました。

「ありがとう」という言葉の代わりに音楽を送る、「あなたが好きです」という言葉の代わりに映像を送る、そんな行動が、ごく当たり前になる時代が到来しつつあるのです。

(『週刊 Life is beautiful』2024年4月2日号の一部抜粋です。続きはご登録の上お楽しみ下さい。「Redditの上場」「大谷翔平のスポーツ賭博スキャンダル」のほか、映像生成AI「Sora」やMicrosoftのAI戦略、半導体装置メーカーに関する最新ニュース解説もすぐ読めます。初月無料です)


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image by: Anna Jurkovska / Shutterstock.com

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マイクロソフト本社勤務後、ソフトウェアベンチャーUIEvolution Inc.を米国シアトルで起業。IT業界から日本の原発問題まで、感情論を排した冷静な筆致で綴られるメルマガは必読。


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