■日経平均4万円目前で起きている日本人のメンタリティの変化。 | タマちゃんの暇つぶし

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マネーボイス:日経平均4万円目前で起きている日本人のメンタリティの変化。実体経済は停滞も、未来に希望が見える理由=高島康司氏2024年3月3日より転載します。
 
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https://www.mag2.com/p/money/1421409
 

日経平均株価はバブル期の史上最高値を更新し、日本では人々が浮足立っている。しかし、実体経済の状況を見ると惨憺たるものだ。そうした日本の背後で進行する日本人のメンタリティの変化について解説したい。(『 未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ 』高島康司)

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日本でいったい何が本当に起こっているのか?

東京株式市場の強い値動きが続いている。日経平均株価は1月の8.4%に続き、2月も7.9%の月間上昇率となった。年初来上昇率は19.9%に達し、2月22日には1989年12月29日に付けた過去最高値38,915円87銭を更新している。高騰の勢いは止まっていない(※編注:原稿執筆時点2月22日。株価ほか数字のみ最新のものに差し替えています)。
日経平均株価 日足(SBI証券提供)

日経平均株価 日足(SBI証券提供)

こうした状況で、日本はやっと長期の低迷期を脱し、新たな発展期に入ったのではないかとする、少し浮足立った観測が多くなっている。株価はバブル期を突破し4万円台となり、それとともに日本も新たな成長期に入るのではないかという楽観的な期待感だ。

しかし他方、実体経済を見ると、こうした楽観的な観測が吹き飛んでしまうような状況が続いている。2月15日、内閣府は2023年10月~12月の国内総生産(GDP)を発表した。第2四半期連続でマイナス成長となり、日本は予想外の景気後退に入った。

内閣府によると、2023年10月~12月のGDPは前期(7~9月)比0.1%減だった。この状態が1年続く場合の年率換算は0.4%減となり、予想されていた以上に低下した。また、7~9月期は前期比0.8%減、年率換算では3.3%減だった。エコノミストらは2023年10月~12月期について1%以上のプラス成長を見込んでいたので、完全に予想が外れた状況だ。

この内閣府の速報値では、景気実感に近いとされる名目GDPは前年比5.7%増、実額は過去最高の591兆4,820億円だった。国際比較で用いられるドル換算では4兆2,106億ドルとなる。これは日本のGDPが、ドイツに抜かれて世界3位から4位に転落したことを意味する。さらに日本の景気後退と円安が続けば、2025年にも日本は5位のインドに抜かれるとの見方もある。

このように日本の実体経済は、新たな成長期に入ったどころか、景気後退期に突入したのだ。むろん名目GDPがドイツに抜かれ世界第4位に転落した理由は円安にあるとしても、日本の実体経済が地盤沈下している印象もいなめない。それいというのも、日本が抜かれたドイツ経済は成長しているわけではなく、不況に突入しているからだ。

2月15日に「ドイツ連邦統計庁」が発表した2023年の国内総生産(GDP)は物価高や外需低迷で0.3%縮小した。「統計庁」は23年のドイツは複数の危機が続く環境下で全体的な経済発展が低迷したと説明。物価高が経済成長を妨げ、金利上昇による不利な資金調達環境や内外需の悪化も打撃となったとしている。

円安はいま始まったものではない。2022年10月には、すでにドルは、現在に近い147円程度の水準だった。そのときはまだ日本の名目GDPはドイツに抜かれてはいなかった。EUの病人と呼ばれ、低迷しているドイツ経済に日本が抜かれたことは、円安だけでは説明がつかない。やはり日本のGDPが2期連続でマイナスであることが象徴しているように、日本の実体経済の地盤沈下が背景としては大きい。

Next: このあとの展開は?バブル期の高騰とは明らかに異なる構造…

バブル期の高騰とは明らかに異なる構造

このような状況であるにもかかわらず、日本の株価が好調なのは、
1. 海外投資家の日本株買い
2. 中国経済の低迷
3. 半導体や自動車など一部産業分野の好調
…などの背景がある。

まず(1)だが、バブル期の90年には5%程度だった海外投資家の割合は、現在では30%を越えている。社会不安などで不安定化しつつある欧米に比べ、停滞しつつもインフラが整備された、安全と安心が得られる日本が資産の保全先として海外投資家に好まれているのだ。

また(2)だが、中国経済の低迷により、かなりの資金が日本株に流れるようになっている。

そして(3)だが、半導体の原材料や製造機器、そしてIT関連部品、さらに自動車などの分野が伸びているので、投資が集中している。

こうした理由を見ると、現在の高株価の状態は海外投資家の存在を始め、外部の要因によってけん引された外在的高騰ともいえるようなもので、日本の実体経済の成長がけん引する内在的な高騰ではないことが分かる。

ちなみに、不動産価格と株価の高騰だけに目が奪われるが、1986年の「プラザ合意」から始まり、1991年の前半には終わったバブル経済期の成長のけん引力となったのは、ハイテクを始めとした先端産業の旺盛な設備投資であった。記憶にあるかもしれないが、日本の80年代はCDプレイヤー、ビデオデッキ、レーザーディスク、大画面テレビ、コンピューターなど家電を中心とした新しいタイプの耐久消費材が市場に溢れた時代だった。こうした新製品を可能にしたテクノロジーの研究開発、そして新製品の生産のための膨大な設備投資が積極的に行われた時期だった。

巨額の設備投資は周辺産業に波及効果をもたらして労働力の需要を増大させ、それが賃金を上昇させた。これは国内の個人消費を増大させ、好景気を作り出した。この好景気による企業業績の伸びが、高い株価に反映したのである。これはまさに、実体経済の伸びがけん引する内在的な条件による株価の上昇だった。

現代の日本は慢性的な停滞構造

しかしいま、株価がバブル期の最高値に近くなっても、バブル期に存在した実体経済の成長を実現する内在的な構造は存在しない。むしろ、いまの日本にあるのは、停滞を慢性化させるような負の構造である。

88年の「日米構造協議」から始まり、91年の「第2次日米半導体協定」に至るアメリカとの一連の協定により、日本は「日の丸半導体」を中心とする先端的なハイテク産業の輸出には大きな制約がかかり、世界最大の市場であるアメリカに思うように輸出できなくなった。先端的産業分野の利益は落ち込んだため、多くの企業は先端技術への研究開発投資を抑制し、家電向けのローテク製品の半導体や部品に特化していった。その分、設備投資も大きく減退した。

また多くの大企業は、系列や下請けの企業に製品価格の値下げを迫り、自分の利益だけは確保する体制にした。そして確保した利益は、新製品のための新しいテクノロジーの研究開発には再投資せず、内部留保金として得た利益を蓄えた。

内部留保とは、正しくは「利益剰余金」という。最新の厚生労働省「法人企業統計調査」の結果によれば、2022年の「利益剰余金」の額は554兆7,777億円と、2021年度(516兆4,750億円)に続き、過去最高を更新した。高株価の背後で、内部留保金の額が積み上がっているのだ。内部留保金は、再投資されるための資金ではない。企業の資産としてただ蓄えられている資金である。

これが大きくなるにしたがって、慢性的な停滞を構造化するような次のような悪循環が形成された。これは 当メルマガ 第713回の記事で書いたが、再度確認する。

イノベーションと開発投資の不在

国際競争力の低下

売り上げの減少

賃金を低く抑える
中小企業に値下げを強要

経常利益の確保

内部留保金として蓄積
役員報酬の増額

イノベーションと開発投資の不在

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日本は捨てたものではない?水面下で進む変化

いまバブル期の最高値を上回る高株価が実現されようとしているものの、日本経済の慢性的な停滞を構造化している悪循環はなくなったわけではない。政府が主導して大幅な賃上げを実現させようとしているが、物価の上昇に賃上げは追いつかず、相変わらずの低賃金状態と個人消費の低迷が続いている。

2期連続のマイナス成長が続き、すでに景気後退に入っているが、これは、この慢性的な悪循環の構造が現在も変化なく続いていることを示唆している。

内部留保金の再投資、研究開発投資の後押し、人への投資の活発化などが叫ばれ、政府もその方向性に沿った政策を実施しているが、この構造がそう簡単に変わるとは思えない。これから日本経済に多少の伸びがあったとしても、停滞構造を一挙に変えるものではない。多少の変化があったとしても、実体経済の慢性的な停滞はこれからも続くと思って間違いないように思う。高株価と実態経済の低迷が一緒になって継続する状況がこれからも続くだろう。

 

しかし、まったく異なった視点からこの停滞構造が続くいまの日本社会を見ると、異なった変化が見えてくる。これは毎月筆者が行っている「ヤスの勉強会」でも指摘していることだが、継続する停滞の中でも日本社会の水面下の変化が加速しているように見えるのだ。

その変化とは、静かな落ち着きのある社会への移行である。

ちなみに、バブルの崩壊後で日本が最悪な時期であったのは、「リーマンショック」の金融危機がまだ継続していた2009年ころだったと言われている。この年は政府が非正規労働者の正社員登用を促進するために、3年を越えた雇用契約を結べなくさせた年だった。労働コストを引き上げるとして、非正規の正社員化を嫌った企業は一斉に派遣切りを実施した。この結果、日本のどの大都市にも、社員宿舎を追われ、行く当てのない労働者が溢れた。彼らを保護する派遣村が各地にできたものの、対応は間に合わなかった。金融危機が引き起こした不況とあいまって、完全失業率、犯罪率、ホームレス数なども一気に増加した。社会全体の荒廃が肌で感じられる状況だった。

しかしいま、この時期から比べると、日本の社会はあらゆる点で改善しつつある。

以下にそれを示す数値のいくつかを示した。2009年前後の最悪だった年を比較対象にした。

<全国ホームレス数>

2007年:1万8,564人 → 2023年:3,065人

<子ども貧困率>

2012年:16.3% → 2021年:11.5%

<刑法犯総数>

2009年:171万3,832件 → 2022年:60万1,331件

これは非常に大きな変化だ。これとともに増加しているのが、NPO法人だ。さまざまなNPO法人による社会サービスの提供が、社会状態の改善に貢献していると見て間違いなさそうだ。

<NPO法人数>

2011年:198件 → 2023年:1,283件

もちろんこれらの変化には、政府による支援策の強化があったことは間違いない。

慢性的な停滞の中で起こるメンタリティの変化

これらはほんの一部の数値だが、それでもこの十数年で日本社会が静かになり、落ち着いた社会になりつつあるのが分かる。コロナのパンデミックによる一時的なより戻しはあったものの、社会状態の改善のトレンドはそのまま続いている。海外からの旅行者が日本の社会環境のよさに引き付けられて多数やってくるのもよく分かる。社会インフラが整い、安全で安心できる日本というイメージなのだ。

このような、慢性的な停滞の中の高度な安定状態で、我々日本人のメンタリティも大きく変化していると見てよいだろう。すでに「ヤスの勉強会」でも指摘したが、おそらく多くの日本人は競争的な資本主義の原理による成長モデルを拒否した可能性が高い。

Next: 日本人のメンタリティはどう変わった?より落ち着いて成熟した社会へ

このメンタリティの変化をまとめると次のようになる。

・勝ち組、負け組の競争原理の拒否
・自己責任論の放棄

そしてこれには、マイナス面もある心理的な変化も対応しているに違いない。

・相手の気持ちと感情に対する敏感さ
・同調性圧力の強化
・社会の安定性の確保

こうした変化を一言で要約すると、多くの日本人は社会的な成功を求めて競争するのではなく、収入はそこそこでよいから、自分が受け入れられ、落ち着くことのできるコミュニティを求めているということではないかと思う。

もしこれが多くの日本人が求めるものであるなら、我々には日本の成長モデルではなく、一見停滞と思えるような状態の中でも、相対的に安定した持続可能な社会モデルが必要なのだろう。

それはどういうモデルになるだろうか?少なくともいまの自公政権では実現できないだろう。その新しいモデルの輪郭はあるので、記事を改めて書くことにする。


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