■カリスマ教祖亡き後、新宗教は生き残れるのか~ | タマちゃんの暇つぶし

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講談社:2024.02.29  カリスマ教祖亡き後、新宗教は生き残れるのか~幸福の科学、大川隆法総裁の死をいまだ公表せずより転載します。
 
貼り付け開始、

https://gendai.media/articles/-/124985
 
 

「生ける神」の突然の死から1年

新宗教の「幸福の科学」は、公称で信者数を1100万人としている。これが本当なら、新宗教の教団としてもっとも規模が大きくなるが、さすがにこれは多すぎる。

私が大阪商業大学の調査をもとに割り出した数は3万6000人である。ただ、これは最低限の数字である。幸福の科学がさいたまスーパーアリーナでイベントを開いていたときには満席で、1万8000人を集めていた。実際の信者数は数万人というところだろう。

さいたまスーパーアリーナ大講演会 幸福の科学HPより

幸福の科学の総裁である大川隆法が亡くなったのは2023年3月2日のことだった。まだ66歳だった。死後に、22年と23年に行われた3回の講演を集めて刊行された『真実を貫く』(幸福の科学出版)を読んでみると、大川は妻から90歳まで、できれば95歳まで現役で働いてくれと言われていたというから、本人としては66歳での死はさぞや無念だったに違いない。

ただ、これは、大川の死の直後に、『現代ビジネス』に寄稿した「『生きている神』幸福の科学・大川隆法総裁死す。『復活』して霊言を与えなければ教団は生き残れないのだが……」でも書いたが、幸福の科学の教団は、大川が亡くなったことを依然として公表していない。『真実を貫く』の著者紹介を見ても、亡くなったとはどこにも記されていない。

信者たちは、この1年、「復活の祈り」を捧げ続けている。もちろん、大川は復活はしていないのだが、どうやら火葬されてもいないらしい。教団は、火葬した事実はないと、それを否定している。大川の遺体がどうなっているのか、それは謎である。

大川は、生前に自らのことを地球神である「エル・カンターレ」と称していた。日本の神話に登場する神は、イザナミノミコトがそうであるように亡くなることもある。だが、地球神ともなれば、死ぬことはあり得ない。

関連記事「生きている神」幸福の科学・大川隆法総裁死す。「復活」して…

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創価学会の場合は

大川が亡くなった後、創価学会の池田大作も亡くなった。亡くなったのは11月15日のことで、発表は18日だった。家族葬はその前日の17日に営まれており、発表が遅れたのはそこに報道陣が殺到することを恐れたからだろう。

ただ、池田が亡くなった後も、しばらくの間、『聖教新聞』には池田からのメッセージや詩が掲載された。もちろん、生前に用意されたものだとはされていていた。

驚いたのは、月刊の機関誌である『大白蓮華』の2024年1月号に、池田による元旦のメッセージが掲載されたことである。そこには、「2024年元旦 大作」と記されていた。

この号の発売は、2023年12月の末だったから、すでに池田が亡くなって1カ月以上が経っていた。刷り直しをしても不思議ではないが、聖教新聞社はそのまま刊行してしまったのだ。

創価学会では、元旦に会員が本部や支部の会館に集まって「新年勤行会」を行うのが恒例になっているが、これも例年通りに行われ、盛況だったと伝えられている。池田の死を悼むという雰囲気ではなかったようだ。

現代では、葬儀の簡略化が著しく進んだこともあり、近親者以外に亡くなったことが知らされない傾向が強くなった。その分、死ということが、以前に比べて軽くなったようにも思える。そうした時代の変化が教祖の死にも影響している。

しかし、教団のトップを走り続けてきた教祖が亡くなることは、教団にとって、そして信者たちにとっては重大な出来事である。池田の場合には、2010年6月以降、会員の前にさえほとんど姿を現さなくなっていたので、死の影響はさほど大きなものではないのかもしれない。

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活動には困っていない?

だが、大川の場合には、『真実を貫く』に収録された最後の講演は、死の2カ月ほど前の2023年1月8日に行われたものである。教団にとっても、会員にとっても、大川の死は突然のものであったはずだ。

その後の幸福の科学には、さほど大きな変化は起きていない。

教祖の死が後継者争いを生むことは珍しいことではないし、それを契機に分裂することもある。だが、幸福の科学では、まったくそうした出来事が起こる兆候は見られない。

それも、大川が神とされ、「再誕の仏陀」ともされているからで、誰か別の人間が神や仏陀になれるわけではない。

大川が生きている間、宗教法人幸福の科学の代表役員は大川自身がつとめてきたが、死後には、石川悦男理事長が代表役員代務者となっている。代務者は、代表役員が長期にわたって不在のときにおかれるポストだ。

大川が、幸福の科学の代表役員ではなくなったこと以外、教団に大きな変化は見られない。教団の人間も、「通常営業」だと言っていた。

大川は生前に3000冊以上の本を出版している。そのなかには、著名な人物の守護霊に語らせる霊言集も多く含まれているが、他に大川自身の著作や講演集、あるいは小説がある。

死後にも、『真実を貫く』を含め何冊かが刊行されている。ただし、毎年1冊刊行されてきた「法シリーズ」については、2022年11月刊行の『地獄の法』が最後になった。さすがに、今後、法シリーズが刊行されることはないだろう。

法シリーズは、次の年の幸福の科学の活動方針を示すものとされてきた。会員は、それを熱心に読み、人にも配ってきた。

その点で、法シリーズが刊行されないことは、会員たちの活動に大きな影響を与える可能性があるわけだが、幸福の科学では、法シリーズの最初の一冊となった『太陽の法』などに改めて着目し、会員たちにその学習を奨励しているようだ。

膨大な著作が残されている以上、新たな著作が刊行されなくても、活動には困らない。そういうことだろうか。

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もはや霊言を聞くことは出来ない

けれども、大川が亡くなったことで、毎年、さいたまスーパーアリーナを使って行われてきた7月の「御聖誕祭」と12月の「エル・カンターレ祭」は開催されなくなった。これに代わる大規模なイベントも、今のところ開かれていない。

霊言は公開の場で行われてきたもので、会員にとってはそれが大きな楽しみでもあった。大川に降った守護霊は、その場に連なった幹部によって前世を問い質され、最後進退窮まってそれを告白するところで幕を閉じる。守護霊の慌てぶりがおかしく、公開霊言はエンターテイメントの性格を持っていた。それも、当然、なくなった。

幸福の科学では、何本も映画を製作してきたが、それも大川の原作をもとにしたものだった。これについては、何本分かのストックがあるということだが、やがてそれも尽きるだろう。

同じ教祖の教えであっても、書物を通してそれを学ぶのと、直接教祖から話を聞くのとでは、受ける印象は大きく違う。

創価学会の場合にも、池田がまだ元気な時代には、毎月本部幹部会で講演を行い、会員たちは支部の会館に集まって、衛星中継でそれを見ていた。池田の講演は、随所で脱線し、それが会員には楽しみだった。

また、池田は、全国を、さらには全世界をまわり、各地の会員を直接励ましてきた。会員たちは、それに感激し、学会活動に邁進してきた。

教祖は、新宗教にとってなくてはならない存在である。そもそも、新しい教祖が出現したことでその教団が誕生したのであり、信者は生きた教祖と接することで信仰心を高めてきた。

初代の教祖が亡くなれば、後継者が生まれることになるが、初代に近いカリスマを持つ人物が登場することはほとんどない。その点で創価学会は例外で、2代会長の戸田城聖に匹敵するカリスマを池田は持っていた。あるいは、戸田以上のカリスマを持っていたかもしれない。

次ページ:もうこれから教祖は生まれないのだろうか

カリスマ教祖不在の時代

池田の後はいないし、大川の後もいない。

それは、他の新宗教についても言えることである。近年の新宗教がふるわず、軒並み信者数を減らしているのも、カリスマ的な教祖がいなくなったからである。創価学会を批判し続けてきた顕正会の浅井昭衞も、大川や池田と同じ年に亡くなった。

現在、存命の初代教祖となれば、浄土真宗親鸞会の高森顕徹とワールドメイトの深見東州くらいではないだろうか。

ほかに、2代目として教団を引っ張っているのはGLAの高橋佳子と真如苑の伊藤真聰だろう。

ただ、高森は1929年の生まれだから、95歳である。ワールドメイトやGLAとなれば、その規模は小さく、拡大はしていない。

新宗教のなかで、唯一、毎年着実に信者数を増やしているのは真如苑だが、伊藤の教祖としてのカリスマが原動力になっているわけではない。伊藤は真言宗の醍醐寺で得度しており、主な活動は法要を営むことにある。教祖として特徴的なのは、一冊しか著作がないことである。

新たな教祖も出現していない。新宗教の世界全体が、「教祖不在」の状況に入っている。

では、もうこれから教祖は生まれないのだろうか。

新しい宗教が拡大するのは、日本の高度経済成長期が典型になるが、経済が拡大し、人口の都市への集中が起こった時だ。これはどこの国でもあてはまる。韓国では、「漢江の奇跡」と言われた時代に、日本の新宗教に近い形のキリスト教が拡大した。

今、株価は史上最高値を記録し、バブルの時代を超えた。東京への人口集中も、コロナ禍を過ぎて急増する気配だ。新しい宗教が生まれる社会的な条件は整いつつある。

新しい宗教の教祖がどこかで活動を開始していても不思議ではない。私たちはまだ、それに気づいていないだけかもしれないのである。
 

貼り付け終わり、