■人体から発見の生物的存在「オベリスク」とは? | タマちゃんの暇つぶし

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GIGAZINE:2024年02月07日 06時00分科学者が「正気の沙汰じゃない」と口走る新発見、人体から発見されたウイルスでもバクテリアでもない謎の生物的存在「オベリスク」とは?より転載します。
 
貼り付け開始、

https://gigazine.net/news/20240207-virus-like-entity-obelisks/


腸内細菌などのバクテリアとは違って、ウイルスは独自に増殖することができず代謝もしないことから、長年にわたり生物か非生物か議論の的になっています。そんなウイルスよりもさらに小さく単純ながら、これまで発見されているものとは明らかに異なることから、新しく「オベリスク」との名称が与えられた存在の発見についての論文が発表され、科学界から大きな注目を集めています。

Viroid-like colonists of human microbiomes | bioRxiv
https://www.biorxiv.org/content/10.1101/2024.01.20.576352v1.full

‘It’s insane’: New viruslike entities found in human gut microbes | Science | AAAS
https://www.science.org/content/article/it-s-insane-new-viruslike-entities-found-human-gut-microbes

‘Wildly weird’ RNA bits discovered infesting the microbes in our guts
https://www.nature.com/articles/d41586-024-00266-7

A new virus-like entity has just been discovered – ‘obelisks’ explained
https://theconversation.com/a-new-virus-like-entity-has-just-been-discovered-obelisks-explained-222296

◆オベリスク発見のカギとなった「ウイロイド」とは?
新しく発見された「オベリスク」は、人間から得られたサンプルに含まれるゲノムからウイロイドと呼ばれる病原体を探す研究の中で発見されました。

インフルエンザなどの感染症を引き起こすウイルスは、宿主の細胞なしでは自己複製できませんが、遺伝子を包むタンパク質の殻を持っています。本体である遺伝子と外界を切り離す境界を持つことなどから、ウイルスは生物と非生物の中間的存在として扱われていますが、ウイルスよりもさらに小さく単純な病原体が1970年代に発見されました。これがウイロイドです。


ウイロイドは、ウイルスとは違ってタンパク質を作ることができず、ゲノムを保護するための殻すら持っていないため、生命の基本単位である細胞が誕生した際の自己複製遺伝子の遠い名残かもしれないとも考えられています。また、極めて単純な構造でありながら、ウイロイドはジャガイモなどの作物やキクなどの花に深刻な発育障害や変形をもたらすことが知られています。

長い間、ウイロイドが存在するのは植物に限定されると考えられてきましたが、近年に入り動物や菌類、バクテリアなどの生物からウイロイドの特徴である環状の構造を持つRNAゲノムが相次いで発見されており、これらの生物の中にもウイロイドのような何かが存在していることが示唆されていました。

◆オベリスク発見までの経緯
スタンフォード大学の生物学者のアンドリュー・ファイア氏や同大学の大学院生であるイワン・N・ゼルデフ氏らの研究チームは、未発見のRNAゲノムを探索すべく、ヒトに生息する微生物由来の遺伝子のデータベースから環状の構造になると予測されるRNA配列を解析するソフトウェアを開発しました。

このアプローチは非常に斬新なもので、アメリカのエネルギー省共同ゲノム研究所の計算生物学者であるサイモン・ルー氏は「論文の著者たちは大変クリエイティブでした」と称賛しています。


解析の結果、研究チームは約1000個の塩基から成る約3万種類の環状RNAを発見することに成功し、棒状の形をしていることから「オベリスク」と命名しました。発見されたオベリスクは、RNAウイルスよりも塩基数が少ない一方で、塩基が200個から400個程度しかないウイロイドよりも複雑です。そのため、オベリスクはウイロイドとウイルスの中間的存在だと位置づけられています。

オベリスクのゲノムは「オブリン」と呼ばれるタンパク質をコードしていますが、このオブリンは既知のタンパク質と相同性、つまり進化上の類似性を持っていないことからその機能は謎に包まれています。

また、オベリスクのゲノムはこれまで知られているものとはまったく似ていないため、オベリスクはこれまで発見されることなく見落とされてきました。しかし、研究チームはヒトの腸内のマイクロバイオームのデータセットの約7%、口内のデータセットの約50%でオベリスクの痕跡を見つけており、地球上の人類の多くに存在する可能性があります。


プレプリントサーバー・bioRxivで発表された今回の論文は、まだ査読を受けていませんが、大手科学誌のNatureとScienceがこの研究を取り上げていることから、その注目度の高さがうかがえます。

ノースカロライナ大学チャペルヒル校の細胞生物学者および発生生物学者であるマーク・パイファー氏はScienceに対して、「これは正気の沙汰ではありません。見れば見るほど、クレイジーなものが見えてくるんです」と語りました。一方、ファイア氏をはじめとする論文の著者らはコメントを拒否し、沈黙を守っています。

◆オベリスクは人類の敵か味方か
オベリスクが人間の健康にどのような影響を与えるかは、まだまったくわかっていません。発見されたオベリスクの種類は、サンプルの提供者や体の場所によって異なっており、人間は1種類のオベリスクを約1年間は保有しうることが長期的なデータから判明しています。また、オベリスクはおそらく微生物の細胞に依存して自己複製しており、宿主は細菌か真菌の可能性が高いとされていますが、具体的な種類は不明です。

しかし、有望な手がかりは得られており、唾液や歯垢(しこう)に生息する代表的な細菌であるストレプトコッカス・サングイニスが特定のオベリスクの宿主であるという強力なエビデンスがあると研究チームは報告しました。ストレプトコッカス・サングイニスは培養や実験が簡単であるため、研究対象として期待されています。


また、オベリスクについての理解を深めることで、生命の起源の解明につながる可能性も秘められており、地球上のすべての生命の前駆体であるとの説があるウイロイドや、生命の進化に重要な役割を果たしてきたとされているウイルスとともに今後重要な研究テーマになると目されています。

最も大きな疑問の1つは、ウイロイドやオベリスクが複雑化する過程でウイルスが進化したのか、それともウイルスが退化してウイロイドやオベリスクになったのかという点です。ルー氏は「これは、現在この分野に携わる中で最もエキサイティングな研究の1つです。この研究が進むことで、地球上のウイルスの長期的な進化の全体像が浮かび上がってくるのを見ることができるでしょう」と話しました。

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