カラパイア:陸地を歩くナマズの独特な歩行スタイル「レフリング」 2024年01月21日より転載します。
 
貼り付け開始、

https://karapaia.com/archives/52328882.html
 
独特な歩行スタイルで陸地を歩くプレコのレフリング

 基本的には水の中で暮らす魚だが、中には陸地を歩ける魚も存在する。南米に生息するロリカリア科のナマズは水を求めて砂漠を歩くことができる。歩くというか這いまわるというか、ピチピチと前進するのだ。

 体を左右にくねらせ、砂の上を匍匐(ほふく)前進するその移動法はオリジナリティに溢れており、その特殊さゆえに、研究者が「レフリング」という専用の用語を考案したほどだ。

 ナマズでありながら砂の上を這いまわる理由の1つは、砂漠の孤立した水場からエサがなくなってしまうからと考えられる。彼らは座して死を待つことはなく、命の危険を冒してでも水から飛び出し新天地を求めるのだ。
 

独特な移動スタイルで砂の上を匍匐前進するナマズ

 「ネオトロピカル・サッカーマウス・アーマード・キャットフィッシュ(Neotropical suckermouth armored catfish)」はプレコの総称で知られており、アマゾン川など南米の熱帯域に生息するロリカリア科のナマズを総称したものだ。

 プレコという名は学問的には厳密な分類ではなく、主に鑑賞魚向けの呼び方として定着したもの。

 このプレコの大きな特徴の1つは、乾燥した砂漠であっても、長時間動き回れる点だ。

 その様子は動画を見ればわかる。プレコは砂の上に特徴的な”足跡”を残しながら、水を求めて突き進む。

 体を左右に振りながら前進するその独特の移動法は、他に類を見ないため「レフリング(Reffling)」と名付けられた。



Texas Invasive Species - Armoured Suckermouth Catfish
 

砂地を移動しながら水のありかを探す

 だが、いくら砂漠を移動できるからといっても、プレコは魚だ。

 水の外の環境に数時間は耐えることができるが、タイムオーバーとなれば死んでしまう。彼らの匍匐前進は、まさに命がけ、決死の行為なのだ。

 興味深いのは、この危険な旅の最中、プレコが全身で水の味を味わっていることだ。

 その体には「味蕾」に相当するものが散りばめられており、それで化合物を感じて水のありかを探せるのだという。
 
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photo by iStock

レフリングはプレコのために考案された用語

 なお「レフリング」という用語は、プレコ独特の移動法を説明するためにわざわざ考案されたものだ。

 それを紹介した2021年の『Ichthyology & Herpetology』に掲載された論文では、次のように説明されている。
ロリカリア科は、口・胸ビレ・腹ビレ・後軸体・尾など、軸上の付属器官をベースにした陸上移動という、極めて非対称なまったく新しい方法を採用する。この移動は、ほかのどの移動法とも異なるため、それを表す新しい用語を考案した
 それが可能となったのも、ロリカリアの体が魚としてはかなり硬いためかもしれない。

 その硬さは、体やヒレの柔軟性を大きく低下させるが、かわりに力をうまく伝えられる。おかげで陸上最速の魚の栄冠はプレコの頭上に輝いたのだ。

 鎧のように固くザラザラした鱗と、岩などに吸いつくことができる吸盤状の口が特徴のプレコは、初心者でも比較的飼育しやすいことや、吸盤状の口でガラス面や流木などの「コケ」を食べてくれることから、ペットとしての人気も高い。

 ただし一部地域では外来種として大量繁殖して大変なことになっているという。