■「食後のインスリン急上昇は悪」という常識を覆す論文 | タマちゃんの暇つぶし

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GIGAZINE:2024年01月06日 13時00分「食後のインスリン急上昇は悪」という常識を覆す論文が発表される、インスリンの反応が高い人は糖尿病リスクが低いとの研究結果より転載します。
 


食事の後に血糖値が上昇すると、糖分を脂肪などに取り込む作用を持つホルモンであるインスリンが分泌されて血糖値が一定に保たれますが、その働きが過剰になると肥満を招いてしまうともいわれています。こうした食後のインスリンレベルの上昇が健康に悪いという概念を覆し、健康の指標となる可能性があるとの研究結果が報告されました。

Future cardiometabolic implications of insulin hypersecretion in response to oral glucose: a prospective cohort study - eClinicalMedicine
https://www.thelancet.com/journals/eclinm/article/PIIS2589-5370(23)00540-0/fulltext

Post-meal insulin surge not a villain, says new research - Sinai Health
https://www.sinaihealth.ca/news/post-meal-insulin-surge-not-a-villain-says-new-research/

「診療所では、インターネットか本で読んだ『インスリン値を上げすぎてはいけない』という考えを信じている患者さんをよく見かけます。また、医師の中にも食後のインスリンの変動を制限するよう患者に勧めている人がいますが、インスリンの働きはそれほど単純ではありません」と話すのは、カナダにあるルーネンフェルト・タネンバウム研究所(LTRI)の臨床科学者であるRavi Retnakaran氏です。


人体には血糖値を一定に保つメカニズムがあるため、健康な人でも一般的に食後はインスリン値が上昇します。そのため、問題となるのは食後のインスリンの増加が健康に悪影響を及ぼすかどうかです。

特に、炭水化物を大量摂取するとインスリンの値が急上昇し体重も増加するため、これがインスリンの効き目を弱くするインスリン抵抗性の一因となって2型糖尿病のリスクを高めると唱える専門家もいます。

しかし、Retnakaran氏によると食後のインスリン上昇がどんな影響を及ぼすかは研究者の間で意見が分かれており、有害だとする研究結果もあれば、有益だとする研究結果も報告されているとのこと。特に、このテーマに関する研究のほとんどは実施期間が短いか、単独でのインスリン測定に基づいているため、考察が不十分になったり誤った結論を導き出したりしてしまう可能性もあると、Retnakaran氏は指摘しています。


食後の血中インスリン濃度が心血管代謝の健康にどのような影響を与えるかを調べるため、Retnakaran氏らの研究チームは、2003年~2014年にかけて募集した合計306人の妊婦の健康を追跡調査する研究を行いました。妊婦が対象となったのは、妊娠中に起きるインスリン抵抗性によって、将来の2型糖尿病リスクを予測することが可能なのが理由とのこと。

この研究のポイントは、血液中の糖分のレベルを考慮してインスリンの反応を補正する「補正インスリン反応(CIR)」という指標が用いられている点です。インスリンが健康に与える影響を知るには、インスリンの値と血糖値の関係についての理解が欠かせませんが、これまではインスリン値ばかりに注目が集まっていたため、これが以前の研究に食い違いがあった一因ではないかと考えられています。

研究に参加した妊婦らは、出産後1年、3年、5年のタイミングでブドウ糖負荷試験を含む包括的な検査を受けました。そして、研究チームが参加者の検査結果を分析したところ、CIRが高いグループの人ほどウエストサイズやHDL(善玉コレステロール)値、CPR(炎症マーカー)値、インスリン抵抗性のスコアが悪い反面、β細胞の機能は高いことがわかりました。β細胞とは、インスリンの合成を行っているすい臓の細胞で、この細胞の能力が高いほど糖尿病リスクは低くなります。


また、長期的にはCIRの高さとBMI、ウエストサイズ、脂質、炎症、インスリン感受性や抵抗性の値は相関しない一方、CIRの高さはβ細胞の機能や血中グルコースレベルの低さと関連していました。さらに重要なことに、CIRが最も高いグループの女性は、将来糖尿病やその予備軍になるリスクが有意に低いことも確かめられました。

「この研究結果は、『食後のインスリン濃度が高いのは本質に悪いことである』という考え方に疑問を投げかけるものであり、代謝の調節においてインスリンが果たす複雑な役割に対する理解を深めてくれる重要な一歩でもあります」と、今回の研究には直接携わっていないLTRIの主任研究員のAnne-Claude Gingras氏はコメントしました。

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