■能登半島地震「ドローン飛行禁止」に賛否も。 | タマちゃんの暇つぶし

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MAG2 NEWS:能登半島地震「ドローン飛行禁止」に賛否も。人手不足日本の危機管理、何が必要?2024.01.05より転載します。
 
貼り付け開始、

https://www.mag2.com/p/news/590265
 
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発災から丸4日以上が経った能登半島地震では、今なお孤立する地域があり、被害の全容も把握できていません。国交省は2日、能登半島全域でドローンなど無人航空機を飛行禁止に。有人ヘリによる捜索を優先した判断ですが、遅々として進まない救助活動には疑問や苛立ちの声も上がっているようです。いま何が必要なのでしょうか?今回のメルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』では、震度7を観測した石川県志賀町とも縁が深い作家の冷泉彰彦さんが、「人手不足時代の危機管理」など11のポイントを考察しています。

元旦の列島を襲った令和6年能登半島地震

新年のご挨拶を申し上げようと思っていたところに、能登半島地震のニュースが飛び込んできました。まずは、被災された方々にお見舞いを申し上げます。

同時に、元旦早々から危機対応に奔走されている関係官庁、公共サービス関連の皆さまに対して、心からの敬意を払いたく思います。

能登は、一時期、北陸朝日放送さんとの1年にわたるプロジェクトで大変お世話になった土地です。また志賀町の皆さまには、別の機会にもささやかながら産業への応援をさせていただいたご縁がございます。

そんな中、震度7という恐ろしい数字を目にして、まずは言葉を失ったのも事実です。

それにしても、元旦の午後4時10分という時間帯に、このような震災に見舞われるとは驚きました。歴史上極めて稀な事象だと思います。第一報に接して、とりあえず想起されたのは以下の4点です。

  • ・「とりあえず大家族が集合していたと考えられる地域と時間帯であり、高齢者の孤立ということは最小限であったと考えられる。だとしたら不幸中の幸い」
  • ・「能登の地理的条件もあり、また元旦の発生ということもあり、情報流通が極めて限られている。喫緊の課題は状況把握、ニーズの確認と優先順位付け」
  • ・「能登は、地形が複雑で交通経路が限られる。主要な道路が地割れなどで不通の場合は、海路とヘリを活用して緊急物資のサプライが必要」
  • ・「帰省客、観光客の域外への移動については、優先順位では、人命救助とライフライン確保の次に位置づけられる。この点について当事者と域外への理解浸透が必要」


全くの限られた情報に基づいたもの、また自身の限られた土地勘で申し上げている部分もあり、責任あるコメントとして見ていただくレベルには達していないとは思います。ですが、幅広い議論の契機として活用していただければと思います。

(※編註:この原稿は2024年1月2日6時50分に配信されたものです)

いまだ孤立地域も。過去の教訓と技術活かし救助急げ

以下、ランダムですが、箇条書き的にお話させていただきます。

(1)
最優先の課題は、過疎集落で孤立している被災者。まず集落の区長などが避難確認ののち、残留者の生存確認を行い、確認が取れない場合は、ドローンで住宅の状況を確認。倒壊が認められて、尚、生存の可能性がある場合は、ヘリで安全な場所にリーチして、救助隊を派遣ということになる。

ただ、山間部でも地盤の緩み等を考えると二次災害のリスクは大。更に労力投入に対する救出の可能性も高くはない。従って、断念する場合も出てくる。この見極めが重要。救出への希望を過大化するのは良くない中で、生存可能性を公表するかしないかも含めて、判断が必要。救出作戦を実施する場合は、迅速果断に実施が必要。

(2)
次は、ライフライン。病院や大規模宿泊施設について、自家発電設備はあるはずだが、その他に電気、ガス、水道の確保は急務。また携帯基地局の復活も急務。東日本の教訓で、移動基地局など様々なノウハウができているはずで、今回はそのショーケースとしても、何ができているのか、できていないのか、どこかで公表して評価を仰ぐべき。

(3)
コンビニの休業が報じられているが、地域によってはコンビニが重要なライフラインになっているはず。建物または立地の安全確認が取れず、もしくは停電などで休業の場合に、物資を送り込む体制はどうなるのか、場合によっては公表が必要。

(4)
大規模宿泊施設には、外国人を含めて多くの域外からの観光客が宿泊しているはず。状況にもよるが、生存者救出、ライフラインの確保などと比較すると、域外観光客を域外へ輸送するニーズの優先順位は、最優先では「ない」。もしも、相当に待たせるのであれば、正確な情報提供と丁寧な説明が必要。

域外に海路で出して、戻る便には物資を乗せるというピストン輸送も考えられるが、いずれにしても指揮系統を確立して整然と実施が必要。失敗するとイメージダウンとなり、観光産業上大きなダメージになる。相当な真剣さをもって対処すべき。(5に続く)

人手不足時代の危機管理、休日返上どう報いる

(5)
本稿の時点では、新幹線(長野以西、湯沢以北)が運休。高速は寸断、航空は能登と小松がダウンという状況。こちらは、本日(2日)から帰省からのUターン客にどう対応するかが大きな課題。能登空港は相当時間がかかるのは仕方ないとして、小松がダメ、新幹線も設備の損傷大、高速も難しいという場合は、在来線と下道の輸送力ではパンクする。「その場合はUターンの延期」を強く要請する必要がある。この問題は、国交省と石川・富山・新潟・福井・長野の5県でしっかり合意して対応が必要。

(6)
喫緊の課題は、富山=金沢間で立ち往生している新幹線の4編成。基本的には、どこに緊急停止していても、安全に誘導する人力があれば乗客の避難は可能なはず。倶利伽羅峠のトンネル内でも避難経路はあるし、高架橋でも下ろす階段は各所にある。本日(2日)になって明るくなれば対応は可能なはずで、反対にJR西が十分に人員を回せない場合は、「3セクから応援」「東から応援」「東海からも応援」それでもダメなら官公庁に頼っても遅くとも昼までには避難完了としたい。勿論、その前に自走して新高岡などで下車できればベストだが。

(7)
現時点では、東京キー局は何もしておらず、民放の場合はローカル局の皆さんの報道体制が非常に頑張っている。仮に東京が稼働し始めたとしても、偉そうにローカル局の前に「しゃしゃり出る」のは止めて、ローカル局の頑張りを全国で認めてあげたい。というか、認知の低下した高齢視聴者向けに「いつものレポーターが全国を駆け回る」的なスタイルはもう無理なので、ローカル局(NHKの場合は地方支局)の制作力を認めるべき。今後は、全国各地のニュースは土地勘に基づくしっかりした現地発の報道内容を全国に伝えるので良いのではないか。

(8)
全体的に言えるのは、元旦の被災、そして3が日を潰しての救出、避難、復旧という活動には、多くの方々による休日返上の努力が求められている。こうした方々へはしっかり報酬や代休などで報いたい。また、そのように危機対応をした方々の努力がちゃんと報われるという制度を保証することで、「人手不足の時代の危機管理」という問題に対処していきたい。(9に続く)

林芳正官房長官の対応は「100満点で40点」

(9)
各県の知事がTV等で陣頭指揮を取るのが、危機管理上は望ましい。だが、日本の場合はこれは「できていない」。その原因だが、コミュ力に自信のない首長が「選挙対策でコミュ力のある対立候補が出てこられては困る」などという「足の引っ張り合い」があるのではないか。

知名度や好感度を持っている候補はその分だけ「ズルい」のであって、自分はカネで対抗するしかない的な意識が、政治とカネの問題の背後にはある。この辺を突破するために、パブリックなコミュ力というのは、政治家にはマストということを徹底してはどうか。官房長官の職責は「問題なく」できた人物が総理になると自爆するという現象も防げる。

(10)
官房長官ということでは、林芳正長官の会見は100点満点で40点ぐらい。ハシカンレベルは無理にしても、もう少しスキルを磨いていただきたい。これも危機管理のうち。質問に対して「ああ、ここだ」的に、用意された原稿の箇所を探しながら回答するというのは生と死の問題を扱う中では全くの不合格。

ちなみに、総理のコメントが遅れたのは正月気分の「成分」を抜くのに時間を要した可能性。この人の場合は仕方がないというのが武士の情けかどうかは議論の別れるところ。

(11)
前後するが、緊急の危機対応で奔走されているのは、公務員だけではない。鉄道、船舶、バス・トラック、通信、電力、ガス、水道、食料、情報など、民間でも三が日に不眠不休で対応している方は大勢いる。

報酬と代休だけでなく、社会として、そうした方々への敬意をしっかり示すということは、今後の危機管理にとっても重要。

以上、第一報に接しての考え方をランダムに申し上げました。皆さまのご議論、今後の対応の中でご活用いただければ幸いです。

(※編註:この原稿は2024年1月2日6時50分に配信されたものです。最新の状況は所管省庁や自治体の発表をご確認下さい)

※本記事は有料メルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』2024年1月2日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

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