https://www.mag2.com/p/news/589308
百田 「私が『国家国旗法に反対するのはおかしいですよ』と懇々と言ったら、河村さんは黙っていましたね」
櫻井 「河村さんは、今後は国旗と君が代を大事にするということですか」
百田 「当然です」
それ、ほんとかぁー!?
懇々と言ったのに黙っていたんだから、納得していないようだと考えるのが普通では……。
河村の主張もいま考えていることもよくわからないが、勝手に「あの人は国旗と君が代を大事にする」と断言して、大丈夫なんだろうか。
櫻井よしこの口から飛び出した鋭い質問
さらに櫻井は、河村が環境学者の飯田哲也と組んで、反原発と再生可能エネルギーの推進を猛烈にやってきた人物であり、日本保守党の価値観とは差があるということを指摘。
すると、またもや有本が「懇々と説明しましたらちゃんと理解してもらえた」とすかさずフォローした。
櫻井 「河村さんは、従来の反原発政策からも考えを転換させたというわけですね」
百田 「そうですね。ただ、原発政策に関しては一点、原発の新増設までは私自身もまだ詰め切れておらず、その点は河村さんもまだ納得していませんので、ここは日本保守党としてもさらに議論を重ねていきたいと考えています」
それ、従来の反原発政策から転向してないし。
河村本人に語らせたら、原発より再生可能エネルギーに移行していくべきだという話が出るんじゃないの?
考え方が違うのは普通のことだと思うが、本人不在の場所で、無理やり読者を納得させようとして断言したり、こじつけたりしていたら、あとで揉め事になるのでは……。
では、百田・有本と河村とで強く一致している政策はなんなのか?
それは、「減税」と「政治家の家業化をなくす」という点だという。
ここで、櫻井よしこから、鋭い質問が飛び出した。
櫻井 「世襲のなかには安倍晋三さんのような政治家もおられますが」
おおっとー!私がとっても聞きたかった質問だあー!
「安倍晋三を尊敬する」「安倍なき自民党は最悪だ」と言いながら、日本保守党が批判している政策は、消費増税しかり、外国人労働者受け入れ拡大のための入管法改正しかり、ほとんど安倍晋三がやったことである。
そのうえ、家業政治家のボンクラ代表格が安倍晋三なのに、それをなくせというのはどういうロジックなのか?
百田 「もちろん、世襲でも安倍さんや中川昭一さんのような素晴らしい政治家はいました。でも、それはごく稀な例外であって、安倍さんの存在はほとんど奇跡なんです。そうした例外を持ち出しても意味はありません」
ロジック、なかったー!!
安倍は例外。安倍は奇跡。
いま自分が批判している政策はほとんど安倍のやってきたことだけど、それでも安倍本人だけは奇跡的に例外。
だが、安倍みたいな世襲政治家の家系が堂々と行っている「税金逃れ」は本当に許せないようだ。世襲議員の家系では、贈与税も相続税も一切かからずに政治資金を移す方法があるということに触れ、ガンガンまくしたてる。
有本 「世襲の問題では、たとえば、親の政治団体から子の政治団体へと『寄付』というかたちで資産を移せば贈与税も相続税も一切かからないため、『無税の遺産相続』が横行していることも是正すべきです。政治団体の代表者が議員から親族に後退してもやはり非課税で、実際は相続や贈与でも課税を免れている例が多いのが実態です。庶民からは高い税金を搾り取っておきながら、自分たちは税金逃れを行っている」
百田 「合法的な脱税ですよね」
だからそれ、安倍家の話なんですけど。
安倍の妻・昭恵が代表を引き継いだ安倍晋三の政治資金管理団体「晋和会」には、ほかの政治団体から2億円以上の「寄付」が行われ、さらにパーティー券収入や繰越金を加えると、3億4,000万円あまりが「非課税で相続」された状態になっている──目下、裏金問題から取沙汰されるようになった話だ。
呪文を唱えてでも自分を歪める日本保守党やその界隈の面々
かつて、安倍晋三が「9条に自衛隊明記」という無意味な改憲案を発案したとき、櫻井よしこは、自身の動画のなかで、「安倍さん、なんてことを言ってくれたんだ!」と衝撃を受け、ショックのあまり部屋に閉じこもったものの、何時間か悩み考え込んだ末に、「やっぱり安倍さんが正しい」と思い直して部屋を出たという話をしていた。
ネトウヨも百田も有本もみんな同じで、当時から「安倍さん、なんちゅう政策やらかしてくれてるんだ」と思いながらも、肥大化した権力の虜になってしまった身では、「安倍さんは例外、安倍さんはほとんど奇跡」という呪文を唱えて自分をゆがめ、妄信する力のほうが勝っていたのだろう。
安倍の遺した政策は「安倍以外の自民党のせい」「岸田のせい」にして批判できるが、過去の自分の核となる部分は否定できない。だから、安倍本体に触れる部分だけは、例外的奇跡的手法で迂回するしかない。
そんな不自由な精神状態が想像される。
日本保守党、今後もアンチ自民党で活動していくようだが、安倍派のほうは、それとはまったく関係のない局面で、弱体化して自滅に向かっているかのようである。
3月の来年度予算成立後に退陣ではという予測が出ているようだが、選挙戦、どんな珍事が散見されるのか、参政党の動向と合わせて、今後もウォッチしたい。
(『小林よしのりライジング』2023年12月12日号より一部抜粋・文中敬称略)
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