カラパイア:高強度コンクリートは熱で燃えることはないが爆発する。コンクリート爆裂の原因を特定(スイス研究) 2023年11月28日より転載します。
 
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 芸術が爆発するといった内なる爆発ならポジティブにとらえることもできる。だが、絶対に避けたい怖い爆発はいたるところにある。

 ガス爆発、粉塵爆発などはもちろんだが、コンクリート爆発もその1つだ。

 特に強高度のコンクリートが爆裂しやすいようで、それにより被害も深刻なものとなる。コンクリートが爆発する原因は何なのか?今回発表された研究でその謎が明かされたようだ。
 

爆発の危険が指摘される高強度コンクリート

 砂、砂利、水などをセメントで凝固させたコンクリートは、建築土木工事の材料として多く利用されている。

 橋・トンネル・高層ビルといった、より一層の強度や耐久性が必要になる建造物では、乾燥方法を工夫したり、補強材を組み合わせたりして、強化されたものが使用される。

 ところが、この強高度コンクリートは200度以上の熱にさらされると爆発する危険性があることで知られている。


コンクリート爆裂という二次災害

 この「コンクリート爆裂」という現象が特にリスキーなのは、橋やトンネル内で火災が起きたような場合だ。

 たとえば2017年3月、米アトランタを走る州間道路85号線沿いの橋が、その下にあった保管庫の火災が原因で一部崩落した事故は記憶に新しい。


Suspect charged with arson in fire blamed for collapse of Atlanta highway

 あるいは2004年の中国衡陽市では、鉄筋コンクリート造りの建物が火災で崩壊し、消防士20名が犠牲になるという痛ましい事故もあった。
 

内部に閉じ込められている水分が気化膨張して爆裂

 その詳しい原因を特定するために、EMPA(スイス連邦素材科学技術研究所)は、フランス・グルノーブル大学ならびにラウエ・ランジュヴァン研究所と協力して、コンクリートを600度に熱しつつ、中性子断層撮影法でその内部の様子を観察するという実験を行なった。


Concrete Can't Burn, But It Can Blow Up!

 その結果、高強度コンクリートを頑丈にしている構造が、皮肉にも爆裂の原因になっているということであった。

 高強度コンクリートの内部には微細な孔がいくつも開いている。ここには微量の水分が含まれているのだが、熱せられるとこれが気化して、熱から逃げようとする。

 ところが、高強度コンクリートは硬度を高めるために普通よりも密度を高められている。このために、水分は孔から逃げることができない。

 結果、圧力が高まり、やがてコンクリートが耐えられなくなったときに爆裂するのである。
 
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熱源がなくなってもすぐには収まらない

 もう1つ明らかになったのは、熱源が除去されたとしても、内圧が下がらない限りは爆裂が続くということだ。

 実験動画では、ヒーターがオフにされてもなお爆裂が止まず、気の毒なタイマーが吹き飛ばされる瞬間を見ることができる。

 最近ではポリオレフィン系の繊維を混ぜることで、高温にさらされた水分の逃げ道を確保した高強度コンクリートもあるようだ。

 この研究は『Cement and Concrete Research』に掲載された。

References:Watch Concrete Explode As Scientists Probe Weird Phenomenon/ written by hiroching / edited by parumo

追記:2019年5月の記事を再送してお届けします。



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