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2024年11月5日、世界が注目する中で行われるアメリカ合衆国大統領選挙。既に出馬を表明しているトランプ前大統領が、共和党支持者からの人気を集めていると伝わってきますが、トランプ氏が大統領再選を果たした場合、国際社会はどのような状況となるのでしょうか。今回のメルマガ『国際戦略コラム有料版』では日本国際戦略問題研究所長の津田慶治さんが、トランプ氏の「大統領返り咲き」が世界にもたらす影響を解説。さらに我が国の「生き残りの道」を考察しています。
もしもトランプが米大統領当選「もしトラ」なら、2024年の世界は大激動になる
2024年の激変を検討しよう。一番大きいのが、トランプ氏が11月米大統領選挙で当選した時であろう。トランプ氏の政策は、NATOから離脱して、欧州の安全保障は欧州自身で行うことであり、米国は金も人を出さないという。
これにより、NATOをどうするのかである。EUの中心はドイツであるが、日本も参加させて世界的な安全保障組織にすることにするのか、EUの組織にして、中国との関係を保持するかであり、フランスは、中国に気を使い、日本参加を否定している。
英国は日本と準同盟国化して、NATOに入れたいようである。ドイツも日本や英国が必要であると思っている。英国は、米国も引き止めたいようであるが、トランプ氏は、応じないとみる。
世界の覇権国としての米国は終わり、米国は孤立的なモンロー主義になる可能性がある。今のところ、トランプ氏は、対中国への対抗上、アジアからの米軍撤退を示唆していないが、日本が米軍駐留費用を出しているからである。
日本が今以上に費用を出さないなら、アジアからも撤退となる。勿論、米国は石油が自国で出るので、中東からは撤退になる。中東で、イランなどのイスラム主義を止めることはできなくなる。サウジもイランとの友好条約を結び、敵対関係にしない。イスラエルの孤立化が明確になる。
もう1つが、米国の孤立主義で、貿易を止めることであり、輸入品には、一律10%の関税をかけるという。これで、世界貿易は、その量が大幅に縮小することになる。輸入大国・米国が自国の製品しか使わないということで、インフレも大変なことになる。
この貿易制限は、1929年の大恐慌でのブロック経済と同じで、世界が大不況になる。トランプ氏が米国大統領の4年間は、最悪の時代になりそうである。米国にとっても世界にとっても。
日本や欧州は自由貿易を維持する必要がある。ここでも日欧は、共同して世界経済を安定させることだ。
その上に、トランプ氏は、金利水準が高いと言うので、インフレ下での利下げになり、スグフレーション状態になり、株価も暴落になる。貿易制限と合わせて、世界的な大不況になる可能性が非常に高い。
もう1つが、再生エネルギーの反対であり、電気自動車にも反対である。石炭産業や石油産業の復活になる。地球温暖化で、赤道地域の高熱化でインドなど赤道直下の国は人が住めない状態になるし、海水面の上昇で、海岸近くの都市が水没する可能性も出てくる。
一番怖いのが、地球温暖化で農作物の不作になることで、食糧危機になることだ。戦争、飢餓、大不況、異常気象という黙示録の条件がすべて揃うことになる。ここは、霧やシートなどで人工的に雲を作るなどの温度を下げる技術を使い、地球の温度を下げるしかない。
衰退を余儀なくされるロシアと中国
トランプ氏は、IT企業嫌いで、IT企業にいろいろと難癖をつけるようであり、特に独占禁止法などを使い、分割する可能性がある。IT企業が米国から離れて、英国、カナダ、豪州、日本などに移転する可能性もあるとみる。
トランプ氏は、1,100万人の不法移民を強制送還し、今後移民を入れないともいうので、世界的な人道主義の衰退になる。それと、欧州でも移民の反対が大きくなり、右翼政党が政権を取っている。EU全体でも移民禁止になる。国際的な援助も少なくなる。国連の機能も縮小化することになる。日本や欧州は紛争現地か近くで、難民の救援をするしかない。
米国はウクライナ支援も止めることで、ドイツを中心に欧州でウクライナへの軍事支援を行う必要になる。フランスも応分の負担が必要になる。それでも、日本のNATO参加を拒むのであろうか?
ウクライナは自力で戦争を勝ち抜くことはできない。しかし、F-16などの援助を早期に得て、ロ軍空軍力を削減していけば、ヘルソン州の奪還はできる可能性がある。そこで、停戦して、クリミアやザポリージャ州を返還させることであろう。
その後は、NATOに加盟して、再度のロ軍侵略に備えることである。
次に大きなことは、中ロの衰退であろう。ロシアは、この戦争で国力を随分と落としたし、差し押さえられた資産も戻らないことで、戦後の復興もままならないことになる。
少数民族の独立も出てくることで、ロシアとしての国家は小さくなる。分裂することになり、二度と世界の大国にはなれない。日欧もロシアから分離独立した国を助けて、大ロシアを復活させてはいけない。少数民族の独立を助ける必要もある。
中国は不動産バブル崩壊、金融危機になり、海外からの投資もなくなり、自力更生しか手がない。一帯一路も資金がなく、多くの国が離れていくことになる。
それと、中国国内で肺炎が増加していて、パンデミック第2号が始まっている危険性が出てきた。中国からの入国を止める必要性もあるし、中国経済は復活できない可能性もある。ゼロコロナの第2弾発動かもしれない。
世界は、早くmRNAワクチンを作り、未然防ぐ必要もありそうだ。
しかし、国内が騒乱状態になったときは、南シナ海や台湾での紛争を仕掛ける可能性があるので、注意が必要である。特にフィリピンとの紛争の可能性が高い。米軍が支援しない可能性もある。
この中でインドに、海外からの投資が集まり発展するが、カースト制度があり、それが限界点になる。しかし、グローバルサウスの主導的な位置を確立することになる。
どちらにしても、世界秩序体系が大きく変化することになる。米国が世界の覇権を手放して、日欧で、次の秩序体系を作るしかないことになる。
しかし、この変動期は、世界の暗黒時代になり、核戦争を起こす危険性も出てくる。特にイランとイスラエルが戦争をすることになったときが危ない。米国が中東から撤退したら、その状況が出現する。
トランプ再選決定後、日本政府がすぐさますべきこと
一方、日本も難しい局面になる。日本の自民党は、このまま増税路線を維持するなら、国民の支持を失うことになる。日本の縮減化を適切に行い、プライマリー・バランスを取り戻せたら、日本は大きなチャンスがある。
それと、トランプ氏が大統領に当選したら、真っ先にトランプ氏の下に飛んでいき、安倍元首相のように、ご機嫌を取ることである。日本は、米国の忠実な友であると思ってもらう必要がある。
しかし、逆にこのまま、予算規模を拡大して、無限に国債を発行すれば、いつかはハイ・インフレで大変なことになる。劇的な生活レベルの低下を国民の80%が経験することになる。
今のレベルの円安なら、日本製造業は復活して、米国での工場建設で、米国市場を取れるし、米産業保護政策で、安い輸入製品からも守られる。米国がIT・AI分野を支配して、日本が製造分野を受け持つという住み分けができる可能性もある。
今後起こる世界的な大不況を脱出できる目は、AIの利用で労働力を削減して、コストを下げられることで、コスト競争力を再度得ることであろう。
日本は人口減少で、労働力減少に取り組む必要があり、AI利用が進む環境にある。他国ではAI利用反対運動が起きるが、日本では起きない。今までも衰退業界は多くあったが、それに反対する運動が起きていない。
ただ、労働力不足は解消しないとみる。このため、AI化できない分野の労働賃金は上昇する。年金は増額しないので、75歳程度まで働くことになる。相対的に高齢者層の貧困化が進む。
人間とAIを結ぶBMIの研究も進んでいるので、徐々に人間の能力と機械力の統合ができることになり、大きなチャンスになっている。
もう1つ、世界の不況を乗り越えるのが、人間の寿命を伸ばす研究であろう。医療研究で、老化のメカニズムも分かり、その防止技術も確立することである。
さあ、どうなりますか?
(『国際戦略コラム有料版』2023年11月27日号より一部抜粋、続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)
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