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お盆の時期に考えたいのが、お墓の終活「墓じまい」の問題です。全国的に高齢者が亡くなったあと空き家が目立つようになってきたのと同じように、墓をどう維持管理するかが、不動産とともに大きな問題となっています。(『 今市的視点 IMAICHI POV 』今市太郎)
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※本記事は有料メルマガ『今市的視点 IMAICHI POV』2023年8月12日号の抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会にバックナンバー含め初月分無料のお試し購読をどうぞ。
どうする?墓じまい
新型コロナは完全に終息したわけではありませんが、ここ3年ほど夏休みに行われていた(自主規制を含む)お盆の帰郷制限はようやく無くなった様子。
今年のお盆は家族団らんで楽しいひと時を過ごされた方も多いことと思われます。
そんなお盆の時期に考えたいのが、お墓の終活「墓じまい」の問題です。
全国的に高齢者が亡くなったあと空き家が目立つようになってきたのと同じように、墓をどう維持管理するかが、不動産とともに大きな問題となりそうな気配です。
墓守がいなくなるという深刻な事態が現実に
昔の日本では「墓守」という言葉が使われていたようですが、文字通りこの墓を守る人、個人の墓でいうなら墓を受け継ぐ後継者が劇的に減少しはじめている状況です。
まあそれもそのはずで、世帯調査をしてみますと、子どものいる家庭は全体の35%程度で漸減中。しかも2040年までには単身世帯が断然トップの40%ということになっています。
親戚や兄弟という緩衝材的家系はあるとしても、家を継承して、その墓も継承するという昔なら当たり前に存在した役割を果たす人が激減している状況です。
後継者がいないなら親戚・兄弟の子どもたちがその役割を果たせばいいといいますが、10世帯集まればすでに6世帯以上が後継者なしの状況。
墓守・後継者が激減するのも当たり前の状況で、空き家問題とともに墓守激減問題も社会的に大きくクローズアップされそうな状況です。
現状ではお墓を取り外して中に眠っている遺骨を別の場所に移す「墓じまい」を検討し、実施する家が非常に多くなりそうです
この墓じまいでは、墓石は石材店に引き取ってもらい、更地の状態で借主に返却して終了することになります。
ただ、これもそれなりに費用がかかりますから、一気にいくつもの墓じまいを行うのは経済的にも大きな負担です。
カネさえかければ物理的に墓を撤去することはできますが、そこに収納されていた先祖の遺骨をどう取り扱うかが大きな問題になるわけです。
Next: 「遺骨」処理に4つの方法?墓地以外に埋めれば違法に
最大の問題は「後継者不在」の状況に陥ったとき
先祖代々から存在していた父方・母方の墓を統合して、いくつかを墓じまいするというのも、高齢者の家族が現存している場合、相当に親族で揉めるという話はよく聞きます。
それでも後継者が存在するならば、正直、大した問題ではありません。
問題は、この後継者なるものが完全に途絶えた状況下で、どう墓じまいしていくかに注目が集まります。
その場合、すでに墓に抱えている遺骨をどうするのか?という問題があります。
不謹慎ではあるものの、墓じまいしたからと言って、そこいらに撒いたり、自宅の庭に埋めたりすることは法律で堅く禁じられています。
そのため、墓地以外のところに埋めることはできないのが実情です。となると、できる方法はかなり限られることになります。
「遺骨」処理に4つの方法?
まず、自分で遺骨を保管するのがひとつです。
また、寺や霊園の永代供養を利用し、一定期間を過ぎたら合祀して事実上墓を合法的に消滅させる方法があります。
さらに、石原慎太郎氏のケースで話題になった、「散骨」というやり方が存在します。海への散骨が一般的ですが、散骨は節度を持って行う分には法的にも問題なしとされています。骨を粉砕するといった準備が必要ですが、これからはこうしたやり方も一般的になるのかもしれません。
強引な手法として挙げられるのは、火葬場で火葬後に「遺骨を受け取らない」というものです。
そんなことができるんかいな?と疑問に思うのは当然ですが、多様化が進んだこの世の中。そんな選択肢を強行する兵(つわもの)も存在するといいますから驚きます。
まあよく電車の荷物棚に置き去りにされて忘れ物として中を確認したら「骨壺」だったという話は、かなり以前から聞いた話。こうした遺骨の処理事情を改めて確認しますと、放置された理由も見えてくるところです。
この先、お墓をどうするのか。皆が元気なうちに話しあっておくべき
後継者不在から墓じまいを行い、手元に戻った遺骨をどうするのかについて このメルマガ で考える時代がくるとは夢にも思いませんでしたが、少子化社会はそんなところまで影響が及んでおり、いまどき永眠するのも楽じゃない時代が到来していることを感じさせられます。
この先、該当しそうな世帯の方々は、今のうちに家族である程度は話しあいを持ち、コンセンサスを事前に獲得しておく必要も感じる次第です。
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